閑話 オフ of お風呂


 かぽーん。


 屋敷のお風呂に入る。


「ふう、ちょっとゆっくりできたかな……」


 広い湯舟に、俺は肩まで浸かる。

 こんな広い風呂が存在したのか……こんなの、ダンジョン奥地の伝説の秘湯に入った時以来か。


 あの時も防具も武器もないタイミングを見計らって襲われたんだったか。

 そもそもあのダンジョンに行くよう誘導されたのもすらも俺を殺す罠だったのかもしれないな。


 それはともかく、このお湯はあの時と負けず劣らずの気持ちよさが体を包んでいる。

 あ~気持ちいい……とても心地の良い感覚が全身に沁みわたる……なんかほっとするな。

 何も気にせず、ゆっくり一人でいるというのは悪くない。

 ……いろんなことが、立て続けにあったからな。


 この屋敷で使われているお風呂は大きいので何人か余裕で入れる大きさだ。だがそれでも一人の方がゆっくりできるのに変わりはない。

 あらためて、俺の体を見る。

 小さな体、小さな胸、小さな尻。

 少女の姿である。それが今の俺の肉体だ。

 そういえば、アレはどうなっているのだろうか。ちょっとよこしまな思いを抱えながらも、恐る恐る手を……


「アルちゃーん」

「わっ!」


 突然の声に驚く俺。その拍子にバランスを崩してお湯の中に落ちる。そしてそのまま沈んでいく……って! ざぱあ! 慌てて顔を出すとそこには裸のスフィアさんがいた。


「な、何してるんですか!」

「いや、アルちゃん一人で寂しがってるんじゃないかと思って」

「大丈夫ですから!」


 俺は慌てて手で体を隠す。


「そう? ならいいけど……」


 彼女はそのまま湯船の中に入ってくる。


「ふぅ~やっぱりお風呂はいいねえ~」


 と、気持ちよさそうな声を上げるスフィアさん。

 その体は、とても綺麗で、胸も大きく、腰はくびれている。

 ……こんなに近くで人の裸を見たのは初めてかもしれないな。

 ちらりちらりと、覗いてしまう。


「ねね、アルちゃんちょっと……体、洗った?」

「いえ、まだですけど……」

「ふーん、ちょっと、洗ってあげよっか?」

「えっ!?な、何故?」

「いやぁだって……ちょっと成長したら体、洗わせてくれないんだもん。お姉ちゃん寂しいなーって」

「そ、そんなこと言われましても……」

「いいからいいから~」


 とスフィアさんに押し切られて結局洗われることになってしまった。

 全部。

 とっても、恥ずかしかった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――

当初の予定になかった話ですが、書きたくなったのでひっそり投下。

皆様の☆や♡やフォローのおかげです。ありがとうございます。

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