第1話 けっして取れない仮面を作ろう!!

「んっ」頭がじんじん痛む、目が覚めるとそこは見慣れた部屋ではなく雲の上だった。

なぜそこにいるのか理解できずに俺は雲の上から下を見る。

いつも暮らしていたN県があった。

「落ちないでくださいね。もし落ちたら死んでしまいますので、あっもう既に死んでいましたね。ふふっ。」

頭に女性の声が入り込む。しかし、周りを見るが誰もいない。

「上ですよ」そこには白い翼を持つ女性、いや天使がいた。

天使は俺の目の前に降り立ち会釈をした。俺も連ねて同じく返した。

「初めまして裕也様単刀直入でございますが先程貴方様はお亡くなりになりましたそのため生まれ変わる際の転生先を決めていただきます。」

彼女は2枚の紙とボールペンを俺に渡した。

 「俺が死んだ…転生先っ…?」

彼女の言っていることが俺には理解ができなかった。「最初は皆さん混乱しますしかし、私達天使のお仕事は死んだ魂を新しい依代に移すことですそして、そのためのこの紙です。」

俺は彼女が渡した二枚の紙を見たそこには端的にこう書かれていた。 



          〈契約書〉

・篠崎裕也を現世に転生させる。

・いままで生きてきた篠崎裕也の記憶が消却される。

・現世に転生を望まれている方が多いため依代はプ ランクトンなどの微生物、運が良ければイワシなどの魚類になる。



俺は1枚目の契約書を握りつぶした。

「あらあら1枚目は良くなかったですか?」

「良い悪いの問題じゃなくてなんで人間じゃないんだよっ!せめて犬や猫でいいじゃないかっ!」

「犬や猫の愛玩動物は人間同様とても人気が高いのですいません。それならもう一枚はどうでしょうか。」

俺は二枚目の契約書を見る。



          〈契約書〉

・篠崎裕也を2次元の世界に転生させる。(その世界は篠崎裕也の好きなように選べる)

・転生するのに対し篠崎裕也のいままで生きてきた記憶を消却するか現存させるか好きなように選べる。

・転生する依代は篠崎裕也の要望できるか限り汲んで行う。



「どうでしょうか…」

「……」

「あのどうかされました?」

「…最高じゃないですかっ!」俺は声を張り上げてそう叫んだ。

「なら良かったですこの契約書の下に自分の名前を記入してください。」

俺は契約書に自分の名前を記入した。

「それなら貴方が転生をご希望の世界は何ですか?そして、何になりたいですか?」

「俺はアンリミテッドラバーズの世界に転生してモブの女性キャラになって主人公と攻略キャラの関わり合いを近くで見てみたい。」

「女性ですか…すいません転生に関してのルールを伝えるのを忘れていたのですがいまの貴方と同じ性別の依代にしか転生できないんです。」

「なら男のモッ…」

「しかし、可愛い姿になりたいと望んでいる貴方の願いをできる限り汲み取り貴方を特別な依代に転生させましょう。」


話を遮られたのは少し嫌だったが特別な姿で転生できるのはありがたい、モブになりたいとは言ったが本当は特別な能力を持った人間になりたいと思っていたから彼女の提案はとても嬉しかった。


「ありがとうございました、それでお願いします。」

「了解しました。なら貴方をアンリミテッドラバーズの世界に転生します。」


俺が長年やってきてクリアできなかったゲームに入ることができて俺は感動していた次こそは、このゲームに転生し、達成率100%にしてやろうそう思った。


「それではお元気で。」彼女は手を振る

その言葉で俺の意識は途切れた。

それが、けっして取れない仮面を作った制作者との別れであったことを今の俺は知らなかった。

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