第11話 消えたグラビア

 次の日。

私たちが撮影させてもらったグラビアさんの情報が消えた。

綺麗さっぱり、まるで最初からいなかったかのように。

「どこ行ったのだろう……。」

横に目をやると、飛鳥も寂しそうな顔をしていた。

「巷ではゾンビにやられたと言われてるみたいです。」

「それ本当の情報?」

「分からないよぉ。調べてるけど予測記事ばかりで……。」

「私たちで撮影会の会場に行ってみない?」

「でも紀伊ちゃんまだ寝てます……。」

「あ……。」


よし、起こしてあげるか。

「起きろーーー!」

耳元で叫んでやった。

「うるさいっ!!」

「こんな近くで叫ばれたら誰だって起きるよ、びっくりだわ!」

「それは置いておいて。」

「置いておくな。まだ耳がガンガンする……。」

「紀伊ちゃん、置いていっちゃいますよ。」

「ちょっと飛鳥⁉あんたは味方してよね!」

「しないでーす。」

「こらー!!!」


紀伊が怒って追いかけてくる。

逃げ回る飛鳥。


「さあ、行くよっ!」

「「おー!」」


私の声に合わせ、二人がついてくる。


幸運なことに、私たちは幸いにも撮影会の会場からあまり離れていなかった。

昨日は疲れていたので歩きたくなくて近くで休むことにした気がする。というのも、撮影会が初めてだったので慣れないことをして疲れてしまったのだ。

日暮れを待ち、会場に向かう。


「失礼しますー。」


入ってみれど誰もいない。それはそうか。とりあえず建物の下から上まで探してみよう。


「手分けして探そー!」


紀伊の言う通りだ。みんなで同じところを探すのは非効率的だからね。

紀伊は1階、飛鳥は2階、私は3階へ。

3階はとても埃っぽい気がする。衣装や道具が手付かずになっているし、物置になっているからだろうか。

鼻がムズムズしてきた。今日は隠れる必要ないから大きなくしゃみしてもいいよね。てか我慢できそうにない!


「ふへぇっっっっっっくしゅん!!!!!!!ふえっしょいやぁああ!!!!!!ふぇぇぇぇっく!!!!!!は、はぁ……ふええええええっくしゃあああん!!!」

とてもスッキリしました。やったね!

「うるさい静かにしろ聖那!1階まで聞こえてるんだよ!」

「そんなに大きくないし!他の人のくしゃみでは?」

「この建物多分あたしらしか居ないから!飛鳥のくしゃみがこんなにでかい訳ないし!」

「ひどい、私への信頼がまるでない。」

「だって前科あるし。」

「ねえふたりとも。」

2階から飛鳥の声がする。

「大声で喧嘩するのやめてほしいかな、ちょっとうるさい。」

「すみません……。」

「ごめん。」

「ところで手がかりありましたか?」

飛鳥から尋ねられる。

「うーん、ないかな。」

「こっちもないっす。」

「屋上行ってみる?」

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