第6話 くしゃみスクール

「だから、なんか別のことしよう!」


私は話題を変えたい。


「何するぅ?」

と飛鳥ちゃん。

「くしゃみの練習する?またゾンビに見つかりそうになった時のために。」

と紀伊ちゃん。

「もうゾンビになっているのだけど…。」

「気にすんな!さて、いいから練習するんだよ!」

「こよりでする?今作ってるよ。」


なんだこれ?

いや、みんな積極的だね。


「ちょっと本気でするの?」

「うん。ダメかなぁ。聖那ちゃんは嫌だった?」

「聖那見つかっちゃうよー、いいの?」

「良くない、けど。私くしゃみ大きいもん!」

「だからその対策だって!」

「ちっちゃく抑える練習、私からするから見ててねぇ。」


唐突に始まるくしゃみ鑑賞。

飛鳥ちゃんが小さく細くティッシュをまとめ、こよりを鼻に入れる。


「むずむすするぅ。あ、出そう!んっっっく!は、は、んっく!あはは、ちょっと声出ちゃったよ。」

「かわいー。」

適当な相槌だな紀伊ちゃん。

「次はあたし行くねー。」

お次は紀伊ちゃん。飛鳥ちゃんが作ったこよりを鼻に入れて乱暴にゴシゴシ。

しばらくすると。

「あ、きたきたきた!えっっく!えっくちっ!ふぇっくちっつ!」

「段々声おっきくなってるよぉ!」

攻守交替してヤジ飛ばす飛鳥ちゃん。


「次は聖那ちゃんだねー。」

二人してにやにやしながらこっちを見てくる。

ですよねー。

仕方なく私もこよりで鼻をゴシゴシ。

くしゃみ来た。これは抑えられそうなやつだ!

「出そう…。んっく!ふっくちっ!ふぇっくちっっっっっつ!」

これは行けたか…?

「難しいですなあ。」

と紀伊ちゃん。

「待ってすごく抑えたよ!小さかったでしょ!あっ待ってくしゃみが!へぇっっっっっっくしゅん!!!!!!!ふえっしょい!!!!!!ふぇぇぇぇっく!!!!!!」

「すごく大きいですね。」

飛鳥ちゃんが苦笑いでこっちを見ていた。


「補講だ聖那!!」

「もうやりたくないよー!」

「だめ、小さくなるまで帰しません!」

「ここ私の家だしっ!もう帰ってるし!仕方ないやるよ…。」

再びこよりでゴシゴシ。次は大きそうな感じだ。

「ふえっしょい!!!!!!んっく!んっっっっく!!!!!!んっく!」

ああ一発目がなければ出来てたのにぃ、なんでだよ。


そうして、くしゃみの練習をしながらゾンビとしての一日目を終えることになる。

なお成長はしてない模様。

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