第4話 ゾンビになった私
目が覚めた。
そこは私の家だった。
あれ、おかしいな。ゾンビになったはずではなかったのかな。
「ゾンビになってるよ、安心して。」
私を喰った二人のゾンビが隣にいた。
そこは違ってほしかった。やっぱりゾンビになっているのかぁ。
それと疑問になっていること。
「なんで自分の家にいるんだろう。」
「お、会話もできるみたい!」
「??」
「ゾンビで意思疎通できる個体って希少なんだよ。良かったね。」
「個体って言い方……。」
私を喰ったうち金髪のほうのゾンビがにやけながら言った。
「まあ、そこに座っててよ。くつろいでていいからさ。」
ここ、私の家なんですけど。
「あ、お茶がない!!」
そらそうよ。だから言い返す。
「だって、誰もいないんだから!」
金髪ゾンビちゃんがお茶を沸かしているうちに、もう一人の黒髪のゾンビが隣からひょこっと顔を出した。
「迷惑かけてごめんねぇ。会話できる仲間に会えて紀伊ちゃんは嬉しいんだよ。」
「紀伊ちゃん?」
「そそ。今お茶入れてる子ね。」
「なるほど。」
「そして、私は
「かっこいい名前。うんうん、いいねえ。」
二人で和やかに話していると、
「ちょっと待てぇ!私抜きで勝手に仲良くなるなぁ!」
お茶を抱えて金髪のゾンビが戻ってきた。
私の家の机の前に三人で正座。
机といってもこたつを机代わりに使っているので、高さはとても低い。
「さて、どこから話そっか。」
と、金髪ちゃんが言う。
「そもそもゾンビの生態についって話したほうがいいかなぁ。だよねぇ。」
と黒髪ちゃん。
「まずはそもそも生態から知りたいです。」
「ゾンビになって少し経つからわかってきたかもだけど、肌の色が若干青白くなったところ以外はあまり変わらない。これは見た目の話ね。次に行動の話。これまでと同じように物をつかんだり、生活はできるけど夜しか動けない。私たちゾンビは光に弱く、日中外に出たら10秒持たず倒れた。」
「倒れたらどうなるの?」
「分からない。その時いた場所から、夜になると動けるようになるみたい。」
「そうなのかぁ。」
「詳しいことはあまりわからないんだ。意思疎通できるゾンビが私たち以外いないみたいで。ラジオのニュースで流れてるのを聞いたくらいであまりよくわからないんだ。」
「どうして意思疎通できないんだろ。」
「うーん、難しいねぇ。脳かなぁ。」
「脳?」
「人間の行動って脳から命令出て動くんじゃなかったっけ。」
「確か、そうだったかな。教科書に書いてあったはず。」
私が黒髪ちゃん......いや、飛鳥ちゃんにゾンビについて教わってる間、一人口をぽかんと開けている紀伊ちゃんがいた。
「紀伊ちゃん、ごめんね。放置したわけじゃないんだよー。」
すっかり忘れていた。詫びる。
「うち説明苦手だから飛鳥にぶん投げようと思ってたから、別に。」
と言いつつもいじけてる。
「おねがいだよー。期限なおしてー。」
私は紀伊ちゃんにハグ。
「抱きつくな!やめろ!おっぱいが背中に当たってるんだよ。羨ましいんだよ!」
怒られちゃった。
「それで、今からどうする?」
紀伊ちゃんに話を変えられた。
「お互いについて話そっか。」
と、飛鳥ちゃん。
そうだね、二人のことも知りたいし。
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