第3話 最後の一日
戸を空けられた。終わった。
私の死因はくしゃみです、なんて虚しい人生なのだろうか。
あぁ、腕を噛まれた。両腕を噛まれた。
血がどんどん吸い取られていく。
さよなら……。
「多分今日はゾンビにならないと思う」
「へ。」
「うちらは子供だから一日で血を全部吸えない」
「明日まで、あなたは人間だよ」
「え?」
「だから、別れの挨拶しておいて。悔いが残らないように」
「は、はい……。」
上手く頭で処理出来ないけど、あと一日の猶予。一日でゾンビになるのとどっちが幸せなのだろう。一日で変わってしまうのか、抗えない変わる運命を感じながらもう一日を過ごすのか。難しい問いだ。
よく地球最後の日になったらどうしたい?なんて言うけど、私は日常を最後まで味わいたいと思うかな。
私はスマホを取りだして、幼い頃から仲良しで高校の生徒会長をやってるみずきに電話をかけた。
「みずき、久しぶり。」
「聖那、どうしたの?」
「私、ゾンビに噛まれちゃった……。」
「えっ…………、ごめん。どんな声掛けたらいいのか分からなくて。」
「だから、最後のお別れを言いたかったの。」
「聖那…………!どうして……。」
「最後だから、一緒にゲームしたいな。」
「うん……!それでいいの?」
「最後までみずきとの時間を過ごしたいんだ。」
パーティゲーム、レースゲーム、人生ゲーム。
2人で競い合って、人生について話して、でもそれも今日で終わりなんだね。
「みずきは私の分まで生きてほしいな。」
「うん!絶対に生き残るから!」
「ありがとう……!」
私はそうして人間としての人生を終えた。
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