第2話 ゾンビ・イン・マイ・ハウス

 押し入れに隠れた私は、外の音に耳を立てる。

近くをゾンビが歩く音がする。私は息を殺してやり過ごそうと試みる。


「……!!」


急に鼻がムズムズしてきた。非常にまずい。

そうだ。押し入れは掃除してないから埃だらけだった。アレルギー持ちの私に取ってこの現状はすごく苦しい。

やばい……くしゃみ出そう。


「んっっっっく……!っく!!」


鼻を摘んで全身を使って、くしゃみを押し殺す。もちろんそんなくしゃみですっきりするはずもなく、よりムズムズが増していく。


「んっっっっっっく……!んっっく!んっっっっっっっぎゅっくし!!!!!!!はあっ……。」


最後にはくしゃみが少し漏れてしまう。

幸いにもゾンビに気づかれず、やり過ごせたようだ。フウっとため息をついた。だがそれが失敗だった。そのタイミングで大きく息を吸い込んでしまった。


「ひぃっ……ひっ、へっっっぐじゅんっっっっっっ!!!!ふっ……ふえっぐじゅん!へぐちっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!」


不味い……通り過ぎて安心しちゃったから、大きなくしゃみをやってしまった。どうしよどうしよ。


「近くに人がいる」

「ほんと」


ゾンビの声だろうか。どうやら二人いたようだ……ああ……この部屋にいたようだ……。


「少しここで待ってみよう。音が鳴ったところを探そう」


やめて!


さっきからくしゃみをしてるのに、全然収まらない。


「くしっっっっっっっ!へ...へぇっっっっっく!ふえっっっぐじゅ!はあっ……はあっ……。」


「やっぱり近くにいるみたい」

「ここの押し入れかな」


まずいまずいまずいまずい。そしてそんな時に限って、空気を読んでくれないムズムズが。


「ひぐ…………ふぇ、ふぐっ……。ふぇっ!?はぁっ...はぁっぐじゅん!」


ゆっくりと扉が開けられた。


「「人間さん、いたね」」

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