第9話~青い瞳の熱伝導~

ミーナの熱のこもった特訓は座学にも表れる。


彼女の青い瞳から発生する熱伝導は座学に消極的だったメルシアにも伝わり、真剣な眼差しでミーナの講義を聞いている。


昼食後、メルシアとオルエスは別々のメニューをこなす。


メルシアはガイゼンの指導の下、筋トレを中心にしたメニューをオルエスは

トリッキーな戦い方をミーナから学ぶ。


ミーナの効果的な計画のおかげでオルエスとメルシアはメキメキと実力を

上げていく。課題だったメルシアのパワー不足は筋トレや重心の使い方を覚えて

かなり重みのあるものとなってきた。


単純だったオルエスの剣術も効果的に足を使ったりこっそり持ち込んだ様々なものを使ってみたりとどんな手を使っても勝つという執念が身についていく。


個々の実力もだが、オルエスとメルシアのコンビネーションも息が合っていく。

メルシアがポケットに忍ばせていた目つぶしの砂をミーナに投げつける。

ミーナがひるんだその隙にオルエスが間合いを詰めて一気に強襲。

先読みしていたミーナは難なくかわすが、先を読んでいたメルシアが切りかかる。


「やるわね!」


木刀でそれを辛うじていなしてミーナは後ろに下がる。


しかし後ろに待ち構えていたオルエスが容赦なくミーナに一太刀を浴びせにかかる。


剣を合わせてミーナはオルエスのバランスを崩し蹴りをお見舞いする。


蹴りをしているすきにメルシアは一気に間合いを詰め重心を下げてミーナの視界から


消えると渾身のボディブローを叩き込む。


ミーナは軽く悲鳴を上げて二人から思い切り距離をとる。


「メルシアちゃん強くなったわね。いいパンチだったわ。あとオルエスも周りが見えるようになってきてるのね。二人ともいいコンビだわ。なら私も少し気合い入れないと行けないわね」


ミーナはそういうとギアを上げ攻めに入る。

オルエスが地面を蹴ってタイミングよく砂煙を巻き上げるが、それより少し早い

タイミングでミーナは上着を脱ぎ捨てオルエスの視界を奪うと同時に進路を変更し

脇に一太刀を入れてオルエスを倒す。流れるような動きでミーナはメルシアの剣を

叩き落す。一瞬で剣を叩き落され呆然としているメルシアにミーナは寸止めをする。


「まだ続ける?」


メルシアは首を振る。オルエスもメルシアも呆然となるが、

力量の違いを知っただけではなく夕日を背にし汗だくで上半身下着姿の

ミーナの神々しささえ感じる立ち姿に見とれたのもあった。

メルシアは見とれながらも自分がパンチしたところにミーナの痣があることを

目ざとく見つけた。少し自分の力が届いたことがメルシアはちょっと誇りに思った。


「それでは、明後日に北の森に出発よ!」


唐突に北の森に行く日程を聞いたメルシアは


「明後日?なんでまたその日取りなの?」


と質問する。


「それはね、二人がまずまずの力がついたことと、準備に一日かけたいからよ。」

「北の森には何度か行ったことがあるってガイゼンが言っていたから、難易度はすでに聞いたし、もう大丈夫かなと思って」


次の日、オルエスたちは北の森に行く準備と最終確認をした。

ポーションなどの傷薬や包帯などの治療セットや雨合羽などをリュックに

詰めていく。食料や水は明日準備する。


明日、オルエスたちは北の森に向かう。その先には何が待っているのだろうか?

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