モンスターの進化

TCG系のアニメでは、カードが新たな姿に進化する描写が度々表現される。


まぁ、そこがTCG系アニメの良いところなんだろうけど.......


「まさか、アルミラージが進化するとは.......」


アルミラージ.....もとい、ジャッカロープのカードを見ながら、そう呟く俺。


.......あんな特訓でも進化できるとは思わなかったな。


「タマ、どうかしたのか?」

「あ、いや......その、アルミラージが進化してた」

「「え!?」」


俺の言葉に対し、驚く二人。


うん、だよな。


驚くよな。


「もしかして、特訓の成果が出たのかな!!」

「かもな」


キラキラとした目でそう言うカリバーに対し、そう答える俺。


一方、ヒナタの方はというと


「凄い.......」


カリバーと同じく、キラキラとした目で俺を見つめていた。


「なぁタマ!!進化したアルミラージって、どんな姿なんだ?」

「ぼ、僕も見たい!!」


興味津々な様子で、そう言うカリバーとヒナタ。


そんなカリバーやヒナタに対し、俺は【幻角獣】ジャッカロープのカードを見せると


「「おぉ〜!!」」


二人は、興奮した表情でそう呟いた。


「【幻角獣】ジャッカロープ......何か強そうな名前だな!!」

「アルミラージの時も良かったけど、ジャッカロープの姿もカッコいい!!」


ジッとカードを見つめながら、そう言う二人。


確かに、カードが進化するのって、何か興奮するよな。


「これも、タマの特訓のおかげだな!!」

「かもしれないな」


ニカッと笑いながら、そう言う俺。


そして、俺はジャッカロープのカードを手放すと、ジャッカロープは元の姿に戻った。


まぁ、元の姿と言っても.....アルミラージの時と同じ姿だけどな。


「プキュッ!!」


うん、やっぱこの姿の方が可愛い。


「アルミラージ.....じゃなかった。ジャッカロープ。お前.....強くなったな」

「プキュ!!プッキュプキュ!!」


俺の言葉に対し、そう答えるジャッカロープ。


「『こちらこそ、特訓してくれてありがとう』だってさ」


ジャッカロープの言葉を聞いた後、俺に向け、そう言うカリバー。


ありがとう....か。


「こんなにも良いモンスターを捨てるなんて.....キョウヤは馬鹿なのか?」


俺がそう呟くと、ヒナタはピクリと反応し


「タマくん、キョウヤさんのことを知ってるの!?」


と叫んだ。


「あ、うん。知ってると言うか.......」

「ジャッカロープの元々の主だった奴だぞ!!」


俺とカリバーがそう言うと、ヒナタはその言葉が気になったのか


「タマくん......ジャッカロープとキョウヤさんに、何が起こったの?」


と尋ねてきた。


それを聞いた俺達は、ヒナタに対し、キョウヤとの出来事を話した。


すると案の定、ヒナタの顔は険しくなっていき


「......許せない」


と呟いた。


「.....もしかして、キョウヤと何かあったのか?」


俺がそう尋ねると、ヒナタは、キョウヤとのことを語り始めた。


「数日前、僕は【晴れ晴れ屋】でカードを買いに行ったんです。でも......その時に、キョウヤさんが僕のクラスメイトとバトルしているところを見たんです」


バトル.......あっ


「ひょっとして、キョウヤの奴がお前のクラスメイトをボコボコにした末に、何か言ったのか?」


俺がそう言うと、コクリと頷くヒナタ。


うわぁ〜.......


「キョウヤの奴、本当に容赦ないよな」

「うん、だから許せなくて.....思わず反論したんだ」

「マジか」


あのキョウヤに反論するなんて.....ヒナタって根性あるなぁ。


「でも、それがキョウヤさんの怒りを買ったらしくて.....結果的にいえば、僕はキョウヤさんと戦うことになったんです」


俺とカリバーに向け、そう言うヒナタ。


この話の流れ、どこかで.......あっ!!思い出した!!


アニメ版【バトサモ】で、ヒナタがクラスメイトの仇を取ろうとしたものの、キョウヤにボコボコにされる回の流れだ!!


あの回は胸糞だったな......って、言ってる場合じゃねぇ!!


このままだと、ヒナタはキョウヤにボロ負けして、闇堕ちルート一直線。


そうならないために、何とかしないと......


そんなことを、俺が思っていると


「プキュ!!」


ジャッカロープは、何かを訴えるように、俺に向けて何かを言った。


「タマ、ジャッカロープがヒナタのデッキに入りたいって言ってるぞ」

「え?」


えぇ!?


「ぼ、僕でいいの?」


戸惑い気味に、そう尋ねるヒナタ。

すると、ジャッカロープはその問いに答えるように


「プッキュ!!」


と言った。


「『一緒にうどんの生地を踏んだ仲だから、力になりたい』ってさ」


カリバーがそう言うと、ヒナタの目には涙が溢れ


「........ありがとう」


と言った。


「これなら、キョウヤと戦ったとしても、何とかなりそうだな」

「うん!!」


俺の言葉を聞き、嬉しそうにそう答えるヒナタ。


そんなこんなで、キョウヤとの戦いに対する準備が着々と進む、俺達なのだった。

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