カードショップにて

この世界でのカードショップは、どこの街にも必ずあるコンビニ的な感じだ。

だからなのか、アニメ版【バトサモ】の舞台である、勝舞町にもカードショップはあって


「おぉ.......」


今の俺は、あのバトルで友達となったムサシと共に、ショッピングモール内にあるカードショップ【晴れ晴れ屋】に来ていた。


「やっぱり、【晴れ晴れ屋】はデカいな」

「そうか?」


キョトンとした顔で、そう言うムサシ。


そりゃ君がそういう世界の住人だからだよ。


「とりあえず、入ろうぜ」


そう言った後、【晴れ晴れ屋】の中に入る俺とムサシ。


【晴れ晴れ屋】の中は、カードパックの販売エリアと、【バトサモ】が出来る体験エリアに分かれていて


「「「「「ザワザワ.......」」」」」


放課後だからか、カードを買うためにやって来た子供達がたくさんいた。


「タマ!!何かたくさん人がいるぞ!!」

「しかも、全員学生だ.......」


十中八九、【バトサモ】目的で来ているんだろうな。


と、そんなことを思っていると


「よく来たね、ムサシくん」


お店のロゴがプリントされたエプロンを着た女性.......もとい、アニメ版【バトサモ】でチヨコちゃんと並ぶ人気キャラの一人である、【晴れ晴れ屋】の店長こと、花札マイが現れた。


「あ!!舞さん!!」


そう言った後、マイに近づくムサシ。


.......生マイさんは綺麗だなぁ。


「あら?あなたは.....?」

「俺の友達の言乃葉タマ!!めちゃくちゃ強いんだぜ!!」


舞さんに対し、俺をそう紹介するムサシ。


「へぇ!!てことは、あなたの隣にいる騎士さんはパートナーモンスター?」

「あ、はい。そうです」


......何かマズいことでも言ったのかな?


そう心配になっていたら


「.....カッコいい!!」


舞さんは、目を輝かせながらそう言った。


「へ?」


そんな舞さんの言葉に対し、思わず、拍子抜けする俺。


「私......こんなにもカッコいいモンスター、今まで見たことがない!!というか、どこで手に入れたの!?」


興奮気味な様子で、俺に向けてそう尋ねる舞さん。


その目は、確実に惚れている目であった。


「ま、舞さん.....?」


カリバーに一目惚れした様子の舞さんに対し、そう呟くムサシ。


うん、その気持ちはすごく分かるよ。


「あ、ご、ごめん!!何というか......その、好みのタイプのモンスターだったから、つい....」


我に返ったのか、俺とカリバーに向けて、そう言う舞さん。


そういえば、舞さんのデッキって戦乙女デッキだったっけ?


だとしたら、騎士系のモンスターが好きなのか?


「なぁタマ、舞っていい奴だな!!」

「そ、そうだね」


嬉しそうにするカリバーを見ながら、そう言う俺。


一方、ムサシはというと


「確かに、カリバーはカッコいいもんなぁ」


呑気にそんなことを呟いていた。


「ところで......この店って、こんなに人が多かったっけ?」


お客さんでいっぱいな【晴れ晴れ屋】の店内を見ながら、そう呟く俺。


「多分、新しいキングダムが発見されたからかもしれないわね」

「新しいキングダム?」

「うん、確か...........ギアキングダムっていうキングダムらしいわ」


ギアキングダムって.......確か、機械系のキングダムだったはず。


ということは、今は時系列的に序盤....なのか?


「ギアキングダムかぁ.......どんなキングダムなんだろうな!!」


キラキラとした目でそう言うムサシ。


そんなムサシを見て、カリバーは俺に向けて


「ギアキングダムって、白銀ツカサの使用するキングダムじゃなかったっけ?」


と、小声で言った。


白銀ツカサとは、アニメ版【バトサモ】に登場するキャラクターで、小学生でありながらも、白銀財閥の総帥をしつつ、ギアキングダム使いのサモナーとして、登場したキャラクター......つまり、武蔵にとってのライバルの一人なのだ。


あと、女性人気も半端なかったな。


「あぁ、でも.....この様子だと、まだギアキングダムを手にしてないかもしれない」


カリバーの言葉に対し、小声でそう返す俺。


「ん?どうかしたのか?」

「「何でもない!!」」

「?」


俺達の言葉に対し、不思議そうな顔をするムサシ。


悪いな、これは俺らだけの秘密の会話なんだ。


「んで、二人はどうする?」


俺とムサシに対し、そう尋ねる舞さん。


「俺はパックを一個買うぜ!!タマは?」

「う〜ん......とりあえず様子見で」


俺がそう言うと、ムサシは分かりやすく目を見開くと


「え!?何で」


驚いた様子で、そう叫んだ。


「いやだって、無駄遣いしそうな気がするし」

「あ〜」


俺の言葉を聞き、納得したような声を上げるムサシ。


【バトサモ】の世界だから、カードをコンプしたい気持ちはあるけど......その場合、爆買いしてお小遣いが無くなる可能性があるからなぁ。


「タマくんって意外と大人だね」

「お小遣いを無駄に使いたくないだけです」


感心する舞さんの声に対し、そう言う俺。


とまぁ、こんな感じでアニメの世界のカードショップを満喫した俺なのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る