バトルの後で

「「「「ワァァァァ!!」」」」


バトルは俺の勝利という形で終わったものの、興奮が収まらないのか.....観客達は未だに盛り上がっていた。


「やった!!俺達、主人公に勝っちまったな!!」

「あ、うん。そうだね」


まさか、オリジナルカードで構成されたデッキで主人公に勝てるとは......


ついつい白熱してしまったとはいえ、原作に影響しなきゃいいけどな。


と、思っていたら


「タマ、お前.....めちゃくちゃ強いな!!」

「それは俺も思った」


キラキラとした目で、ムサシとドラバーンがそう言った。


「そ、そうかな?」


これでも、前世の頃は【バトサモ】の全国大会に出てたから、強い方なのかな?


「にしても、ライフ4以下で+3000されるなんて......そんな効果があるなんて思わなかったぞ!!」

「あ、アハハ.......」


ムサシの言葉に対し、苦笑いする俺。


ちょうどその時、その場にチヨコちゃんがやって来るのだった。


「ムサシ、タマくん、お疲れ様!!」


そう言った後、ニコッと笑うチヨコちゃん。


くぅ!!ヒロインの笑顔は可愛いぜ!!


「お〜!!桜田チヨコじゃねぇか!!」

「お前なぁ.....」


チヨコちゃんのことを呼び捨てにするカリバーに対し、呆れながらもそう言うドラゴバーン。


「フフッ、バーンちゃんもカリバーちゃんもお疲れ様」


カリバー達の背丈に合わせて屈みながら、そう言うチヨコちゃん。


.....チヨコちゃんは本当に優しいなぁ。


そんなことを思っていたら


「よし!!決めた!!俺はタマの弟子になる!!」


ムサシの口から、トンデモ発言が飛び出すのだった。


「......え?」


俺が?主人公の?シショー?


「ちょっとムサシ!!言乃葉くんが困ってるでしょ!!」

「チヨコの言う通り、いきなりそんなことを言ったら、タマが困るに決まってるだろ」


ムサシの言葉に対し、そうツッコミを入れるチヨコちゃんとドラゴバーン。


そんなチヨコちゃんとドラゴバーンに対し、ムサシは


「俺.....【バトサモ】を始めたばかりで、まだまだだけど.........それでも、最近勝ちまくってたから、ちょっと気が緩んでいたのかもしれない」


拳を握りながら、そう言った。


あ、作中で勝ちまくってるのを自覚してたのね。


「だから.......」

「だから、強くなりたい.....ってこと?」


俺がそう言うとコクリと頷くムサシ。


それを聞いた俺は、しばらく考えた後.....こう言った。


「.....ムサシ、君は何のために強くなりたいんだ?」

「何の.....ため?」


俺の言葉に対し、ポカーンとした様子で、そう言うムサシ。


「世の中には、色んな理由で強さを求めるサモナーがいる。例えば、悪いことのために強くなりたいサモナーとか、大会に優勝するために強くなりたいサモナーとか....とにかく、そういう目標設定みたいなものはあるのか?」


俺がそう言うと、ムサシはハッとしたのか


「確かに......俺、何も考えていなかったかも」


と呟いた。


「例えば、勉強を頑張るという目標を決めた場合、どうすれば効率的に勉強できるかを考えるだろ?つまり、強くなるってことは、目標に対して努力するってことだ」

「なるほど.......」


まるで、目から鱗が外れたかのような顔になりながら、そう言うムサシ。


そんなムサシを見たチヨコちゃんは、やれやれと言う顔になりながらも、見守っていた。


「もちろん、努力しなくても何でも出来る奴はいる。けどな!!がむしゃらに頑張れば、目に見えない形でも成果は出る!!誰だって、やり方次第で天才にもなれるんだ!!」

「そうそう!!現に、タマも【バトサモ】の勉強をして強くなったもんな!!」


俺の言葉に続くように、そう言うカリバー。


「そういうわけで、もう一度聞くけど......君は何のために強くなりたいんだ?」


もう一度、俺がそう言うと......ムサシは、真剣な顔でこう言った。


「俺は....もっともっと【バトサモ】のことを知りたい!!だから、俺は強くなりたい!!」


その言葉を聞いたチヨコちゃんは微笑み、ドラゴバーンは覚悟を決めた表情になっていた。


「......そういうと思っていたよ」


主人公はいつだって諦めが悪いしな。


「じゃ、じゃあ!!」

「ただし。俺は師匠にはなりたくないから、とりあえず友達から始めて欲しいんだけど....いいか?」


俺がそう言うと、ムサシの顔は明るくなり


「もちろん!!」


と言った。


そんなわけで、主人公とのバトルに勝利した俺は、ことの成り行きで主人公の友達になるのだった。


.....俺、ただのモブなのにな。

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