転生、そして出会い

「ん....」


重い瞼を開きながら、そう呟く俺。


そして、体を起こして周りを見渡すと..........そこは、見知らぬ誰かの部屋だった。


「俺、生きてる.......」


どうやら、転生に成功したらしい。


そう思いながらベッドから降り、部屋の中にある鏡を見てみたところ


「......ものの見事に若返ってるな」


俺の姿は、ナイスガイからピッチピチの小学生へと変化していた。


「そういや、【バトサモ】の対象年齢は全年齢だったっけ?」


納得したように、そう呟く俺。


どうりで小学生みたいな姿になってるわけだ。


「でも.....今の俺の姿って、どっかで見たことがあるんだよな」


確か.......アニメ版に出ていたような?


う〜ん.....あっ!!


「俺、主人公のクラスメイトに転生したのか!?」


鏡を見ながら、そう叫ぶ俺。


俺がそうなるも無理はなく.......何故なら、親の転生先はアニメ版【バトサモ】の主人公、戦場イクサバムサシの名も無きクラスメイト、つまりはモブなのだ。


モブである故に、セリフも少ないし、映る場面も少ない。


う〜ん、不遇。


「......本当にアニメ版【バトサモ】の世界に転生したのか」


そんなことを思いながら、ふと、テーブルの上を見ると.......そこには、俺のデッキらしき物が置いてあった。


「.......もしかして」


俺は、そのデッキに恐る恐る触り、カードのイラストを見てみると


「......やっぱり」


そのデッキは、俺が考えたオリジナルカードで構成されていた。


しかも、モノホンの【バトサモ】のカードになっているというオマケ付き。


......ステラ・デウスの力、めちゃくちゃ凄いな。


と、感動した様子でデッキを見ていたら


「な、何だ!?」


デッキは突然光り輝き......俺の目の前に、鎧を着た金髪の子供らしきモンスターがいた。


「お、まえは.......」

「久しぶり!!じゃなかった、初めまして!!俺は【見習い騎士】カリバー!!いつの日か、ワンダーキングダム最強の騎士になる男だ!!」


そう言うと、ニッと笑うモンスター.....いや、カリバー。


その瞬間、俺の目から大量の涙が溢れ、大号泣するのだった。


「そっか.....そうだよな。お前は俺が考えた..........相棒だもんな」


【見習い騎士】カリバーは、俺が考えたオリジナルカード(モンスター)の一体で、その頃の俺にとって、カリバーは相棒みたいな感じで、よく無双する夢を見てたっけ。


.....というか


「お前も縮むんだな」


確か.....アニメの設定だと、カードに宿るモンスター達がバトルフィールド以外で実体化すると、こんな風にデフォルメ化するんだっけ?


まさか、ここまでアニメに忠実だとは....


「.....俺、本来のカッコいい姿でビックリさせたかったんだけどなぁ」


俺に向けて、ポツリと呟くカリバー。


その顔は、とてもじゃないが不満げだった。


「これが世界の理ってやつなのか?」

「かもしれないけど.....何かムカつく!!」


剣をブンブンと振り回しながら、そう言うカリバー。


......可愛いなぁ。


「あ!!今、俺のことを可愛いって思っただろ!!」

「ソンナコトハナイヨ」

「嘘つけ!!」


プンスカ怒りながら、そう言うカリバー。


......あぁ、目の前に自分が考えたモンスターがいるのって、めちゃくちゃ良いな。


これがアニメ版【バトサモ】の世界なのか。


「.......どうかしたのか?」

「あ、いや.....ちょっと感動してただけ」


涙を拭きながら、そう言う俺。


そんな俺を見たカリバーは、キョトンとした顔になった後


「なら良かった!!」


ニコッと笑うのだった。


「タマ!!早く朝ご飯を食べなさい!!」


ちょうどその時、俺の母親らしき人物の声が聞こえ、俺は、改めて転生したことを理解した。


「で、どうする?」

「どうするって.....とりあえず学校に行こうと思う」


カリバーの言葉に対し、そう言う俺。


その言葉を聞いたカリバーは、ニッと笑うと


「そう言うと思ってたぜ!!」


ピョンピョン飛び跳ねながら、そう言った。


そんな会話をした後、俺は、自分の部屋から出ると


「今行く!!」


と言うと、カリバーと一緒にダイニングに向かうと、一緒に朝ご飯を食べるのだった。

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