第3話 千鳥翔(ちどりしょう)
☆
私の名前は千鳥。
千鳥翔(ちどりしょう)。
男の子みたいな名前だが私は女性である。
そして...清水修二の恋人である。
容姿的に...あまり大人っぽくない。
だけど内面は完全に大人の様な感じだ。
童顔で身長も低く小学生に間違えられる事が多々ある。
私は修二に「お前はお前らしく居たら良いよ」と言われた。
だから彼が好きになった。
その中で。
彼には少し厄介な恋人だった義妹が居るそうだ。
義妹の名前は明日香。
彼女は嫉妬すれば絶望を導くという。
「...」
私は少しだけ自宅で考えて立ち上がる。
それからノートパソコンを閉じてからスマホを持って眼鏡を外す。
私はそのまま家を出た。
そして早速と向かう。
その場所は修二の家である。
修二の家のインターフォンを鳴らす。
するとドアが開いた。
そして驚く女子。
私は一発で、この子か、と断定した。
それは明日香だ。
「...誰。アンタ」
「見て分かる通りだけど。...彼の恋人」
「そう。アンタみたいなクソガキが?」
「...」
私は至って冷静に明日香に接する。
どう暴言を吐かれようが覚悟の上だから。
だから何ら問題ではない。
そう思いながら「明日香さん。人に向かってクソガキは無いでしょう」と冷静に判断して言う。
「...は?」
「...貴女は口答えを見直すべき。...それだけ」
「ハァ?私のお兄ちゃんを奪っておいてよく言う」
「奪ったんじゃなくて貴女が悪いでしょう。聞いた限りでは」
「はぁ?」
そう言いながら死神の様な顔をする明日香。
私はその姿を見ていると「明日香。誰がきた...」とそこでハッとした修二。
頭を下げる。
修二は「何をしに来たんだ。翔」と言葉を発する。
「...仮にも一度だけでも会ってみたいと思っていたから。明日香さんに」
「待て。明日香なんかに会っても仕方が無いだろ」
「そう言わない」
「あ、ああ」
私は修二に怒りながら明日香を見る。
明日香は私を見ながらメラメラと死の模様を浮かべていた。
私は「明日香さん。貴方は凶暴性があるね」と言う。
明日香は「は?」とイライラしている様だ。
「...お兄ちゃん。コイツウザい」
「俺の彼女にそう言うな。...お前もうすっこんでろ」
「ハァ?お兄ちゃん...どういう意味?許さないよ?」
「お前が話をややこしくしているからな」
「ややこしく?そんな訳無いでしょう」
「しているから」
そして明日香を遠ざけながら「すまないな。翔。上がってくれ」と言う。
私はイライラしながらいかにも、襲い掛かって殺してやろうか、と考えている様な彼女を見る。
その姿を見ながら私は目線を逸らして室内に入る。
それから「...持病は大丈夫なの」と聞いてみる。
「...ああ。過敏性腸症候群なら大丈夫だ」
「...そう」
彼は病気を患っている。
その病気は過敏性腸症候群。
まあこれも彼女のせいなのかもしれないけど。
彼女から離れるって言っているから少しは安心だが。
だけど今はまだ離れる訳では無いので...どうなるか彼女として見届けないと。
「...ねえ。お兄ちゃん」
「...何だ。二階に行ってろよ」
「そういう訳にはいかない。コイツを監視しないと」
「いい加減にしろ。そんな事をしなくてもコイツは問題児じゃないから」
「私はお兄ちゃんの為に...」
「違う。それは自分の為だ」
そう言い放ち押し出してドアを閉める修二。
「すまないな」と言いながらそのまま椅子に腰掛けた。
それから俯き加減になる。
私はその姿を見ながら「大丈夫なの」と聞いてみる。
すると修二は写真立てを見た。
「...何であんな感じなのか。俺が知りたい」
「...そうね。...全て仕組んでいたんだよね?愛とか」
「そうだ。俺は騙された。完全にな」
「何でそんな事をしたのやらだね」
「...そうだな」
そして修二は頭を抱える。
私はその姿に紅茶を出してくれた修二にお礼を言ってから飲み始める。
それから私は「修二。ちゃんと教え込まないと。この世の中そう上手くいかないって彼女。明日香さんに」と言葉を発した。
すると修二は「正直、こんな事になるとは思わなかったんだ」と目線を逸らす。
「...」
「...私も協力しようか」
「...お前に迷惑が掛かるし最悪の場合彼女に殺される」
「それは無い。彼女はそんな根性はない」
「何を根拠に」
「彼女は人を殺める目をしてないから」
「...だが」
「そうだね。地獄に落としたってね。...それはまあもう成り行きだから仕方が無いにしても今から彼女を変えないと」
そう言いながら私は「ねえ。そうでしょ?明日香さん」と言う。
目を大きく開く修二。
周りを見渡しているとドアがゆっくり開いた。
「何故分かった」という感じで、だ。
「貴方、盗聴していたでしょ」
「...」
「...それ最低な真似だよね?...何がしたいの?」
「...アンタとお兄ちゃんはくっ付けさせない。イライラする」
「そう。これは犯罪だけどね」
そう言いながら私は盗聴器をグシャンと握りつぶす。
それから「こんな真似をしないの。いい加減にしなさい」と怒る。
彼女は唖然としていたが眉をどんどん寄せていく。
がぁんと音を鳴らして机を蹴っ飛ばした。
そして去って行った。
「おい!」
「煩い。お兄ちゃんは私のものだ」
「...なあ...お前そんなんじゃなかっただろ。マジに。何でだよ」
「煩いね。お兄ちゃん。私はお兄ちゃんが全てだからそれだけ」
そしてそのまま二階に去って行った明日香さん。
私はそれを見ながら修二に「協力する」と言った。
すると修二は「...そうだな」と返事をする。
額を潰すかの様に修二は手を添えた。
本気で悩んでいる様だった。
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