第2話 悪魔


私はあくまで悪い事と思って無い。

そもそも愛を試す為だ。

ふりをしていただけ。

なので私の行為は浮気に該当しない。

そして私の彼氏役には地獄を見てもらった。


「おにーちゃん。私は元からずーっと貴方だけしか見てない」


そう言いながら私は本気で目からハイライトを消す。

それからお兄ちゃんを見る。

お兄ちゃんは私を見ながら青ざめていた。

ああ。その表情が愛おしい。


「...お前が浮気して無いのは分かった。だがもう引き返せない展開だ。お前が悪いんだから」

「私は何も悪くないよ?おにーちゃん。だから私は仮にも正常だし...頭が狂った訳では無い。お兄ちゃんこそ良く無いよね?だって浮気しているんだから。私にとやかくいう資格は無いよね?」

「...罠に嵌めたなこの野郎...」


そうだね。

私にとってはそれも罠に近い。

思いながら私はゾクゾクしながらお兄ちゃんを見る。

汚い腐れ共のち○ぽなんか私の躰に合わない。

当然、お兄ちゃんのだけ受け入れるつもりだが。


こうなった以上は少し対応が必要かもしれない。

私は一歩、踏み出す。

するとお兄ちゃんはビクッとして後ずさる。

私は「お兄ちゃん。今直ぐにその女と別れようか。私はお兄ちゃんのもの。お兄ちゃんは私を義妹。いや。女として大切にする義務があるよ?」とニコッとする。

お兄ちゃんは「その気はない」と返事をする。


「...じゃあ仕方が無いね。お兄ちゃんを洗脳するしか無いね」

「俺はお前なんぞに負けない」

「...いや。負けるよ?私の愛は誰よりも強い。誰よりも勝っている。誰よりも遥かにか遥かに遥かに強いんだから」

「...いい加減に元に戻れよ。明日香...お前そんな感じじゃなかっただろ...!」

「私はお兄ちゃんが大切なだけ。分かる?お兄ちゃんは全て私のものだ。今直ぐに別れて。じゃないと私はお兄ちゃんを許さない」

「...別れない。それは拒否をする。彼女はあくまで俺の彼女だ」


「本気で言っている?」と私は反転する感じで笑顔を浮かべる。

それから「お兄ちゃん。私はその女と別れない限りその女も大変な事になるよ?」と言ったが。

お兄ちゃんは「決してそれは許さないぞ。...お前のした事によっては絶縁だ」と言いながら私を見る。


でもそっか。

私はその姿を見ながら「へぇ...」とニヤッとした。

逆に興味が湧いてきた。


「...お兄ちゃんは何がしたいの?その女と。まさか性行為?まさかだよね?それは無いよね?だって私のお兄ちゃんだもん」

「...そういう気は無い。だが俺はお前とよりを戻す気も無い」

「お兄ちゃん...そうなんだ。じゃあその女さえ居なくなったら良いんだね?」

「...何をする気か知らないがそれをした場合、俺はお前を殺すぞ」

「...お兄ちゃんの大切なもの。...それは私だけで十分だ」


そして私はグッと拳を握る。

爪が食い込んで出血している様だ。

そんなもんどうでも良いけど。

お兄ちゃんがこんなに変わってしまったのはその女のせい。

その女のせいその女の...。


絶対に許せない。

そう思いながら私は怒りを覚えながら居ると「...明日香」と声が聞こえた。

顔を上げるとお兄ちゃんは「お前...そんな奴じゃ無かった。昔は。何がお前を変えたんだよ」と複雑な顔をしていた。

私は思い出す。

交通事故未遂に遭った時を。


「私は好きな人が殺されそうになった。だから殺されそうになった分。守る事にした」

「...明日香...」

「私は生まれた時からずっとお兄ちゃんが好き。だからお兄ちゃんは私のものであり。お兄ちゃんを渡す気は無い」

「...もう帰るぞ。お前と話していたら耳が痛い」


そして言い捨てられた。

私はその言葉に「帰るの?」と聞いてみる。

すると「お前の無実は証明されたよ。だけど...お前のその気持ちが変わらない限りは話したくない。お前は頭がおかしい」と言われた。


何故そうなるのだろうか?

私はあくまでお兄ちゃんを愛している。

こんなに愛しているのだ。

ただそれだけでそう言われる筋合いはない。


「お兄ちゃん。私、その女を許さない。絶対に許さない。だってこうして私達の仲を悪くした。絶対に許す気は無い」

「...」

「...どうあれ私は絶対に許さない」


私はお兄ちゃんの家系図をわざわざ作ったというのにそれは本当にインシデントだ。

私に法律が効かないのだったら。

真っ先に解体して抹殺しているだろう。


だけどそれが出来ないなら嫌がらせぐらいはできる筈だ。

よし決めた。

私はその女に妨害を仕掛けよう。


そしてまたお兄ちゃんに振り向いてもらうんだ。

絶対に。

どうSNSとかで攻撃を仕掛けようかその女に。

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