第二章 魔王

 家に帰るとおじいちゃんが家の前に待っていた。

「ただいま。」

 僕が言うとおじいちゃんはいつもと違う真面目な顔をして。『中に入れ』とだけ言い、先に中に入っていった。なんでそんな顔をしているのかが気になって、おじいちゃんに続いて、家に入った。

 おじいちゃんは『ここに座れ。』といいリビングのテーブルに座った。

「照馬、お前はポテチが好きか?」

急にポテチが好きかといわれたので、僕は迷わず、

「好きに決まってるだろ。」

と言った。するとおじいちゃんが、

「これからポテチがもう食べられなくなるかもしれん。」

「へ?」

 一瞬時間が止まったように理解が追い付けなかった。

「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

「ポテチが食べられないってどういうこと!?まさか借金

でもしたの!?」

「借金などしてない。」

というと話を続けた。

「なんと、魔王が復活してしまったのじゃ。」

「魔王?急に頭がおかしくなった?」

「それはお前じゃ!」

 おじいちゃんに頭をたたかれた。僕の方が頭がおかしいってどういうことだよ!と言おうとしたが言わなかった。

「それで?魔王がどうした?」

「魔王の名は…」

 魔王なら、凄く厳ついような名前してそうだな…

と想像を膨らませている時におじいちゃんは言った。

「『魔王カエ~ル』じゃ。」

―――――少しの沈黙の後に僕は言った。

「なんだよ『魔王カエ~ル』って、誰だよこんな名前つけたやつ!」

 笑いながら言っていると、おじいちゃんが『魔王カエ~ル』の本当の恐ろしさを教えてくれた。

「『魔王カエ~ル』は世界征服を試みているらしい。」

「へー、なんで?」

 僕は対して興味はなかったが、おじいちゃんがこんなことを言った。

「世界征服をして、ポテチを世界中から没収して、自分だけポテチをたくさん食べる、ということじゃ、要するにこのまま放置していたら、世界中のポテチが全て没収され、『魔王カエ~ル』の胃袋の中に収まるということじゃ。」

⁉ ポテチが没収され、一生ポテチが食べれなくなるってこと!?

「なんて非道で最低なやつだ!許せん!」

「ポテチだけでこんなにもやる気を出すとは…」

 おじいちゃんはとても驚いていたが、僕は許せないに決まっている。みんなの大好き(強制)なポテチが一生食べられなくなるだと!?そんなこと、誰が一生耐えれることなのか…

「そう言えば『魔王カエ~ル』が復活したってどういうこと?」

ふと気になって聞いてみた。すると、おじいちゃんはその質問を待っていたらしく。

「よくぞ言った!教えてやろう!」

おじいちゃんは急に元気になって僕に教えってくれた。


「『魔王カエ~ル』は約100年前に起こった戦争『ジャガイモ収穫期』を引き起した、原因として倒された魔王じゃ。」

「『ジャガイモ収穫期』?」

「『魔王カエ~ル』が本格的に世界征服を始め、軍事力が一気に高まったころじゃ。『魔王カエ~ル』のポテチへの執着は凄まじい。照馬お前は『魔王カエ~ル』をどう思う?」

 おじいちゃんに聞かれたので思ったことをそのまま言った。

「許せるわけねーだろ!絶対に討伐してやる!」

 僕が家を出ようとするとおじいちゃんに止められた。

「まて。そのためにお前に特技を授けよう!とりあえずそのために外に出なされ、わしが教えてやる。」

 一語一句前回と同じなのは触れないことにして僕は外に出た。

「照馬よ、お前は『ステータス』の確認方法を知っておるか?」

「『ステータス』?」

「そうじゃ。それはお前の能力値を大体知ることができるぞい。」

「で?どうやるの?」

「これじゃ。」

 おじいちゃんは何かを取り出した。それは磨きこまれた古いプラスチックの塊だった。

「いやそこは水晶玉とかじゃねーのかよ!なんでプラスチック!?」

「特売セールで売ってたからじゃ。ちなみに透けてるものだったら何でもよい。球体

が一番見えやすいがな。照馬、お前はこの玉を力を込めて握るのじゃ。」

「壊れない?」

「たぶん大丈夫じゃろう。」

 いやめっちゃ心配なんだけど!不安に思いながら僕はプラスチックの塊を握り締めた。

 すると、何か文字が浮き上がってきた。


Lv. 

HP 

MP  

攻撃力 

防御力 

素早さ 

魔力

才能

特技

  

「何も書いてないよ?」

「今計算中じゃ。」

 よく見ると真ん中に『Now loading…』と書いてある。なんだよこの表記!

 それは置いといてもしかして、これは僕だけステータスが高いパターンだ!

と思いながら期待してステータスを見た。


Lv.3

HP 120 

MP 50

攻撃力 23 

防御力 30

素早さ 26

魔力 40

才能 炎系魔法(大)、回復魔法(小)

特技 なし


 おおっこれは!まさか!!

「どう?おじいちゃん?」

 少し期待して聞いたがおじいちゃんがすごいことを言った。

「普通じゃな。」

「え?」

―さっきのことは聞かなかったことにしよう。

「それより特技を教えて!」

「照馬は炎系魔法の才能があるようじゃな。」

「炎…!」

 炎はいろんな面で役立つからぜひ習得したい。それにカッコイイ。

「おじいちゃん、この(大)と(小)って何が違うの?」

「それが(大)に近いほど強力な魔法習得することができるのじゃ。」

「なら序盤から無双できるってこと!?」

「違うぞい。」

 やっぱそうか…そんなに世界は甘くなかった。

「とにかく教えて!特技の使い方を!」

「わかったぞい。」


「まず自分が使いたい魔法を想像する…そして技名をいうのじゃ!…『イナ』!」

 おじいちゃんがそう言うと、おじいちゃんが手をかざしたところに雷が落ちてきた。

「すげー!僕もやってみる!…『ファイア』!!」

――特に何も起こらなかった…だと!?

「技名が違うぞい。」

「知るかっ!!」

「炎系魔法の一番最初に覚える技の名は『ファイン』じゃ」

「『ファイン』?なぜそんな名前?」

「しらん。深く考えるな。お前のやってみろ。」

「分かった!いくぞー!『ファイン』!!」

 火花のような、小さな炎が一瞬だけ出た。

「出たぞーーーー!!」

「それはショボすぎるぞい。」

 しかし、僕にはそんなことは聞こえていなかった。

「他に何か教えて!」

「ならホームシックな照馬のための特技を教えよう。」

「誰がホームシックだよ!!」

「その名の通り『わーぷ』じゃ。」

「『わーぷ』?名前だせ~。誰だよ考えたやつ!」

「わしじゃ。」

「え?」

「わしじゃ。まずこの機械の上に乗る。」

 いかにもワープしそうな装置におじいちゃんが乗った。

「そうすると次からそこへ行けるようになる。そして『わーぷ』というといつでもそこへ行けるぞい。」

 おじいちゃんは装置から降りて行った。

「『わーぷ』!!!」

 その途端、青く光っておじいちゃんが消えた。そして装置の中から出てきた。

「おおおおっ!!」

「これが一番覚えやすい特技じゃ。」

 僕もおじいちゃんに言われた通りやってみると、装置の中から出てこれた。

「すげー!!」

「他も同じような物じゃ。ちなみにこの装置は『わーぷくん』と呼ぶ。」

「名前だせー」

「これもわしが考えた。」

「でしょうね。じゃあ行ってくるわ。」

「どこに?」

「魔王討伐に決まってるでしょ?」

「そっか。思いっきり忘れてた。」

「メインそっちだろ!!次こそ行ってくるわ。」

「あ、そうそう。」

「?」

「ここから南東の方角にある『ハンドジャイ』という町へ行け。そして、『上吉うえきち』という爺に会いに行ってこいつを渡してくれ。」

とおじいちゃんが言いながら手紙を渡してきた。

「次こそ旅へ出発だー!」

「おー!」


 おじいちゃんも乗りに乗って言ってくれた。こんな話、どこにでもありそうだけど…

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