第68話 議論_チームH

「じゃあ今別れたチームで議論して発表してもらうからな。しっかり話せよ。いいか?Hの班は特にな、分かったか?」


「雲龍先生、あんまし言わないでよ!大丈夫だって、なぁ大地?」

「おうよ桜児!議論の三冠王目指そうぜ。てかそれよりH班ってなんか嫌じゃない?特にお前がいるとなおさらマジに見えちゃうじゃん。」

「はぁ、マジ最悪。」


「じゃあ早速始めるか。お題は何だっけ?『ながらスマホを無くすには』か。こんなん無理じゃね?今スマホないと生きてけねーし。ってか留美子!早速お前が議論し『ながらスマホ』してんじゃねーよ!」

「うるさい。無駄に声大きいんだよ。声量と言葉の質が釣り合ってねーんだよ。」

「なんだと!なんだよ言葉の質って。議論なんだから喋らなきゃ意味ないだろ!」


「大地、とりあえずさ。ながらスマホって言っても歩き『ながらスマホ』が一番有名だけど、他にも『ながらスマホ』ってあるよな。どんな『ながらスマホ』があるかで共通点見つけないか?それで対策が分かるかもしれないし。」

「お前天才か?くそ、案打王はお前に取られそうだぜ。まず歩き『ながらスマホ』だろ?あとは議論し『ながらスマホ』。それにラーメン屋で話題になってる食べ『ながらスマホ』だろ。後はなんかあるか?」


「てかそもそも逆じゃない?」

「逆?何が逆なんだ?」

「だから、歩き『ながらスマホ』じゃなくて、スマホ見『ながら歩き』じゃないの?スマホ見るなんて、うちにとっちゃ息するのと一緒だし。」

「なるほどな。お前にとっちゃスマホ見『ながら議論』というわけだ。スマホ見『ながら食べ』だというわけだ。」

「そゆこと。分かってんじゃん。」


「そもそも『ながら○○』って他にもあるじゃん?本読み『ながら食べ』なんて昔からありそうだし。なんでスマホだけ悪いように言われてるんだ?」

「別に本読みながら食べるのも良くないっていう人多いでしょ?」

「確かにそうだな。ちくしょう、反論王は留美子に取られそうだぜ。」


「でもながらで一番やりやすいのはスマホだから、スマホを見ることを減らすのが一番なんじゃないか?ながらを減らすんじゃなくて、スマホを見る時間を減らす。それが良いと俺は思う。」

「は?何言ってんの?そもそもスマホ見ることの何が悪いの?ばんばん情報入れられるし、スマホ見てることで他のことが疎かになることなんてないし。」


「それはお前だけの話だろ?これは一般的な話だから、スマホ見ながら他のことするのはやはり効率が落ちるし注意力も散漫になる。良いことなんて限定的だよ。」

「確かにそうだな。一番の問題点は事故が多いってことだよな。車とか自転車の『ながらスマホ』の事故も多いみたいだし、だいぶ前に歩き『ながらスマホ』して知らずに踏切に入っちゃった死亡事故もあったよな?他にも問題点はあるか?」

「おいおい、問いかけ王も狙ってるのか、桜児。三冠王どころか無冠王になっちまうぜ。そうだな、一番の問題はスマホをみることが留美子のように当たり前になると、スマホを見ちゃいけない状況でも見ることに歯止めがかからなくなっちゃうことだな。」


「あたしそういう分別はつくし。」

「なるほど、議論中にスマホを見ることは悪く思ってないってことだな。」

「悪いと思ってたら見ないでしょ?馬鹿なの?あんた。」

「こりゃ反論王じゃなくて暴言王だった。」

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