第33話 人間と動物の違い1

「ねぇねぇ、さときびちゃん!」

「なに?鮪川さん。」

「人間と動物の違いってなんだと思う?」

「人間と動物の違い?どうしたの急に?」


「この前、生物研究会で植物と動物の違いの話になってね。意外と白熱したの。ただ白熱しすぎて喧嘩になっちゃったんだ。」

「白熱しすぎよ。で、それは結論が出たの?」

「うーん、やっぱり明確な答えってのは難しくてね。まず動物と人間の違いからまとめた方が良いんじゃないかってなってね。で、今回は怪我人が出ないようにあらかじめ話す内容とか進行とかを決めてやろうってことになったの。」


「怪我人って、殴り合いでもしたの?」

「うーん、殴り合いではないんだけど、サボテン投げ大会になっちゃってね。だから、今回は平和的に議論したいから考えをまとめておこうと思って。」

「殴り合いより危ないわね。。でもなるほどね。人間と動物の違いか。鮪川さんはどう考えてるの?」


「希美ちゃんと泉海ちゃん、何話してるの~?」

「こっちゃん!今ね、さときびちゃんに人間と動物の違いを聞いてたの。」

「そんなの言葉を話すかどうかじゃないの?」

「確かに人間ほど複雑な言葉は話さないけど、有名なのだとイルカとか、最近では鳥も会話しているという論文も発表されてるみたいね。」


「そうなんだ~。じゃあ戦争するかどうか?」

「うーん、でも縄張り争いとかあるから、争いはあるんじゃない?でも殺害までいくのかな?」

「調べてみたら、哺乳類に鳥類、昆虫も事例が確認されてるみたいね。」

「そっかぁ~、じゃあもう分かんないよ~。」


「道具を使う、ってのはどうかな?チンパンジーとかは木の枝とかを使うけど、人間みたいに鋭く加工したり銃みたいなものは作らないでしょ?」

「確かに人間の技術力は素晴らしいけど、前に何かの番組で木の枝を歯を使って細くしてるチンパンジーの映像を見たことあるわ。」

「そっか、道具も違うか。」

「でもでも、人間の場合は歯とかじゃなくてナイフとかで細くするんじゃない?」


「つまり道具を作るために道具を使うってこと?その道具を作るために使う道具も別の道具で作られていて、って道具の定義も入ってきちゃうわね。」

「広義での道具を使うだと、人間だけじゃないってことかな。」


「他には、宗教とかは動物にはないんじゃないかしら?」

「確かに、神様とかそういった抽象的な概念は持ってないかもしれないね。」

「宗教の戦争とかもないわね。さっきの争いは生きるための争いであって、宗教同士の争いではないし。王族の跡目争いみたいなのもないだろうし。」

「跡目争いは、サル山の争いは跡目争いみたいなものじゃないのかな?」

「確かに、そう言われてみればそうね。」

「そうだよ~、ライオンキングでもスカーとシンバが争ってたよ~。」


「ライオンキングは人間の創作物でしょ?創作物?音楽とか芸術も人間にしかないんじゃない?」

「確かに、でも確かパン君とかって絵を描いてなかったかしら?」

「調べてみたら、インドリってキツネザルが歌うみたい。」

「これも広義では違いがないってことね。」


「さっきの宗教つながりで、お葬式って動物はやらないんじゃないかな?」

「私もそうじゃないかって思って調べてみたら、草や砂をかける動物はいるみたい。中でもゾウは別の場所に市街の一部を持ってって埋めたりするみたい。」


「じゃあ宗教が人間と動物の大きな違いってこと?」

「そうね、さときびちゃんはどう思う?」


「私は実は前から思っていたことがあるの。」

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