第26話 パッケージ
市販ソフトを真似たパッケージを開発してくれと依頼が来た。
おや、久しぶりの大物かと喜んだ。
一週間時間を貰いきちんと見積もりを作る。
見積もりを作るには設計の三割は進めないとできない。この点では工務店などでの工期と資材の量を指定したら自動で大体の見積もりができるのが羨ましい。
この点ではソフト開発プロジェクトの見積もり無料という慣習はもはや呪いである。
結構な金額になった見積もりを提出すると向こうが腰を抜かし慌てて断って来た。
やれやれ、見積もりに使った時間の分が赤字か。
「後学のために教えてください。どうしてこのソフトを作ろうと思ったのですか?」
「市販のパッケージが余りに高いので自分で開発すれば安く上がるかと・・」
バカヤローと怒鳴りかけた。
市販ソフトより安くできるソフト開発プロジェクトは原則として存在しない。
開発したソフトを十も二十も売って開発費の元を取るのだから、当然個別の値段よりも開発費の方が高くなる。
こんな簡単なことも分からない馬鹿のために、意味もない見積もりの時間を取られたのだ。
こういうのは客じゃない。客とは儲けさせてくれるから神さまなのだ。こういうのを表す正しい言葉は強盗である。
世の中の会社人の多くはマトモな足し算すらできない。
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