第16話 命の危機
またシステムを家に持ち帰った。
何とかファームを作り直す。後はG社にある室内機とつなぎ直すだけだ。
偉いぞ自分。よくぞ頑張った。
運搬のためにシステムを分解する。
目の前にあるのは室外機の放熱部を排除した残りの部分。動かすとドコドコ鳴るでっかくてうるさい機械だ。
拳2個分の大きさがある大型コンデンサのケーブルが引っ張っても外れない。
マイナスドライバを出して、端子をねじる。
その瞬間派手なアーク放電が走った。大型マイナスドライバの金属先端が砕けて弾け飛ぶ。
「うおっ!」
思わず声が出た。大型コンデンサの蓄電だ。この大きさのコンデンサは人が死ぬのに十分な電荷を蓄えている。今この端子に素手で触れていたら死んでいた。
後数ミリ指がずれていたら・・それで人生は終わっていた。
ドライバの先端は欠けておまけに焼けている。どれだけエネルギーを貯めているんだこれは。
ケーブルを外すのを諦めてそのままシステム全体を慎重にG社に運ぶ。
相変わらずへらへら笑っているカエル男に何が起きたかを話す。
「え~?」
カエル男は信じていない。手近のドライバを取り上げると問題の端子に触れた。
あ! 馬鹿野郎!
派手なアーク放電がまたもや走った。
「うわっ!」
カエル男が飛びあがった。そのまま実験室を走り出る。
返って来ると説明した。
「ハード屋に聞いたらこの回路にはバグがあって停止時に自動放電しないそうです」
へらへらと笑ってごまかす。
笑うようなことか。冗談じゃない。この間抜けども。そんな大事なことを何故言わない。
あやうくこんなクソ仕事で大事な命を失う所だった。
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