第3話 あるいは創作の日々

 昼ギツネに半年間活動を停止すると一方的に宣言し、創作活動に入った。

 狙いは半年後に開催される小松左京賞への応募だ。


 まずは中編を一本書いた。『ラング&ファガス 狼の指輪』である。

 それからもう一本書こうとして泥沼に嵌った。物語が勝手にどこまでも膨らみ続けたのである。

 途中から期日に間に合わなくなったので趣味のオンラインゲームも止め、全力を投じる。一日12時間書き続ける。

 隣の部屋では母親が息子の無謀なチャレンジをはらはらして見ているのが気鬱でならない。

 仕方ないじゃないか。行く先々で間抜けとアホウと玉摩りが群れを成し、私の人生を潰してくれるのだから。少しぐらい弾けてもバチは当たらないだろ?

 せめて普通の人並みの幸運さえあれば・・。

 きっと産まれて来るときに、貰ったボーナスポイントをINTに全振りしてしまったのだろうな。私は。

 もしまたここに産まれて来ることがあるならば、今度はLUCKに全振りしよう。

 ちなみに最近の科学の研究成果では人生の9割は運で決まるというのがある。努力も能力もその影響は1割程度らしい。


ー暇話休題ー


 結果として全百編で構成された大長編が出来てしまった。題名は『ずぶ濡れ騎士の伝説』。


 書き終わってからバッタリと倒れる。つ・・疲れた。

 どちらも賞に応募した。ずぶ濡れ騎士の方は第三次選考まで残ったが、結局は落ちた。

 どちらもそれなりに面白い水準に達していると思うのだが、まあそれは手前みそである。


 生活費二百万円かけて書いた作品がただのボツだ。何と虚しい目標なのか。物書きとは。

 だがまあこれで諦めもついた。

 仕事に戻るべき頃合いだ。

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