061 tr11, you want it, you'll get it/汝望め、されば授からん
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【AD:2116年, 革命新暦:194年、冬】
ジルベルト、私達が731ソフホーズと銘打たせたこのサリシャガンに来てもう24年か。
最初はアカデミー出たてだった小娘も、今や科学技術長官に王手だ。
あのドゥナイアリタも最大派閥の幹事長だ、書記長になればやりたい放題だろうな。
そろそろ新型農奴をねだる時節か、先日の脱落者を調整して出荷せねば。
所詮アベルの飽きた玩具だが、使い道は向こうが決めるだろう。
それよりあと5年だ、博士どもと協議して仕上げの計画を立てねばな。
せっかく遺伝形質を与えて育成・選抜までしたのに、役に立たないでは済まされん。
例の転移を応用した学習焼き付けを踏襲したうえで教育計画を立て、各個能力を伸ばしてもらおうか。
「マリアベル所長からオーダーが来たわね」
「うむ、とはいえ子供達をこのまま放っておくわけにもいかんから、妥当な内容じゃな」
「おじいさんのニューロン位置把握はどうなったんですか?」
「ああ、ひとまず一般的な学習内容に対応できる程度には仕上がったの。
あとは技官たちに精度向上を任せて、階層深度や別部位の探索じゃ」
「じゃあそちらのオーダーは早くこなせるわね」
「いや、シナプスの順位を焼き付けたからと言ってまだ詳細情報はついてこないから、追加の学習自体は必要じゃの。
そんなこと聞くってことは、ばあさんの方は苦慮しとるのか?」
「ちょっと手を広げすぎて、個別の、しかも詳細な学習が必要な子が多くて…
特にヴォルケイン、あの子2年先行して特別カリキュラム組んでるけれど、シビレエイの発電なんてどうやって学習させればいいのか…」
「発電そのものより、磁場や電場の制御を学習させた方が良いんじゃなかろか?
武術の達人で、鉄砲の玉すら避ける者もおったじゃろ。アチョー!」
「おじいさんったら…でもそうね、身体操作の延長って考え方もあるわね。
小脳より延髄か。良いアイデアかもしれないわ、早速上申してみましょ」
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【AD:2117年, 革命新暦:195年、春】
「諸君、この施設に来てもう5年になる。
数々の事件・事故や選抜試験を乗り越え、よくぞ生き抜いてくれた。
良い機会だ、全員の紹介を兼ねて目的と、今後の方針を紹介しよう。
知っての通り諸君らは全体で14グループ。
最終的に1グループにつき1名のみ選抜され、5年後の革命新暦200年に異世界へ送り込まれる。
つまり14名で異世界へ赴き、この我々の住む世界まで貴重な資源を持ち帰る、重大な任務に就く。
転移後は長期にわたって活動できるよう諸君らには常人より長い寿命を設定し、同時に常人では得難い能力を付与した。
これより5年間は、個別のカリキュラムに従ってその能力を伸ばしてもらう。
詳細は副官より聞きたまえ。
以上」
「ではこれより各グループの教育計画について通達する。
01グループ、ヴォルケイン1名。
君は02アベルの護衛と、転移先の初期電力源として発電の訓練をしてもらう。
グループで1名のため、キミが選抜者だ。
02グループ、アベル1名。
君は転移先の異世界で総指揮者として、全体の管理業務と転移後の業務について詳細を学んでもらう。
グループで1名のため、キミが選抜者だ。
03グループ、シティアとドゥベーナタッチの2名。
異世界で採取すべき資源を調査するフィールドワークを円滑に行う業務を学習してもらう。
君等のうち、選抜者は1名だ。
04グループ、ユリア、スエミ、そしてトゥリーナタッチの3名。
異世界では現地住民から情報収集をするフィールドワークを円滑に行う業務を学習してもらう。
君等のうち、選抜者は1名だ。
05グループ、フセラスラフ1名。
君は現地で即戦力として、必要に応じた戦闘要員となってもらう。
グループで1名のため、キミが選抜者だ。
06グループ、ドラクル1名。
君は現地調査員として、内政担当官となってもらう。
グループで1名のため、キミが選抜者だ。
07グループ、アジンほか8名。
異世界で円滑に採取活動を行うための情報収集を円滑に行う業務を学習してもらう。
君等のうち、選抜者は1名だ。
08グループ、グリゴリ1名。
君は全体の医療活動を担ってもらう。
グループで1名のため、キミが選抜者だ。
09グループ、ナージャシュディ1名。
君は現地で即戦力として、必要に応じた戦闘要員となってもらう。
グループで1名のため、キミが選抜者だ。
10グループ、オズベヤーナ1名(サル)。
君は現地調査員として、内政担当官となってもらう。
グループで1名のため、キミが選抜者だ。
11グループ、シャスチ1名。
異世界で採取すべき資源を調査するフィールドワークを円滑に行う業務を学習してもらう。
グループで1名のため、キミが選抜者だ。
12グループ、シスナータッチ1名。
異世界で採取すべき資源を調査するフィールドワークを円滑に行う業務を学習してもらう。
グループで1名のため、キミが選抜者だ。
13グループ、メドベージェフ1名。
君は現地で即戦力として、必要に応じた戦闘要員となってもらう。
グループで1名のため、キミが選抜者だ。
14グループ、エリザヴェータほか11名。
君達は02のアベルに対する副官として訓練をしてもらう。
君等のうち、選抜者は1名だ。
方針紹介は以上、各特性と教育内容については個別に教官まで問い合わせるように。
それから以前誤解があったようだが、グループを超えた選抜はない。
選抜者は1グループにつき1名だ。
余計なことは考えず、各自能力向上に励むように。
ああ、それから来週より順次、選抜者に対して”イニシエーション”を行う。
学習効率を上げるための特殊作業と聞いている、予定者たちは対応するように。
以上」
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