016 tr14, turn the page/ページを繰ろう
演奏室には曾祖母様のギターは見当たらなかったので練習用ギターを借り、ルイーズの部屋前の廊下まで行く。
念のためノックしておく。
「ルー、聞こえるか?
色々大変だったね。
サブロはそれでも庇ってくれたルーに感謝してるはずだよ。
13年も生きていると親しい人が去ったり新たな出会いがあったり、悪いことも良いこともたくさんある。
迷ったって悩んだっていいんだ、立ち止まって後悔するのもいい。
そうやってたくさん経験して、吸収して、素晴らしい自分だけの物語を紡いでほしい。
これからも新しいページを繰って、重みのある本にしていこうよ。
14歳の誕生日、おめでとう。
この曲を君に捧げよう。
Turn the page」
あなたが挫ければ、その時は来る
総ては無に帰す
本当に必要なものは何であれ残らない
意味などなくなる、周囲を見回せ
灯りに捕まり 音は遠くへ
まるで、炎に舞う蛾のように
ページを繰ろう、明日に立ち向かおう
あなたはその舞台に留まるべきだ
ページを繰ろう、人生を充たそう
新しい時に嘆きは相応しくない
時には独りになることもある
仲間はその時、分かち合ってくれるかもしれない
けれどそれは永遠には続かない
核心へ、その先へ
これから何が起こるんだろう
感動するほどの驚きが待っているかもしれないよ
ページを繰ろう、明日に立ち向かおう
あなたの時間はどこか良い道に繋がっているはず
ページを繰ろう、人生を充たそう
新しい時に嘆きは相応しくない
あなたが臥せれば、その時は来てしまう
総ては無に帰す
本当に必要なものですら、何であれ残らない
意味などなくなる、周囲を見回せ
灯りに捕まり 音は遠くへ
まるで、炎に舞う蛾のように
ページを繰ろう、明日に立ち向かおう
あなたの時間はどこか良い道に繋がっているはず
ページを繰ろう、人生を充たそう
新しい時に嘆きは相応しくない
――――――――――
…いいんだ、何も言わないでくれ。
自己陶酔だモテない男のダサい行動だなんて承知の上だ。
他にも何曲か弾いた気がする、だが眠気が限界で廊下に座ったまま寝てしまった。
気が付いたら朝。
楽器は、脇に避けておいてあった。
どうも身動き取れないと思ったら、胡坐かいた膝の内でルイーズが丸くなって寝ていた。
タロとジロも寄り添うように犬玉になってた。
…皆、まだまだ子供だなぁ。
腰から上だけ動かして柔軟体操していると、侍従の人がススっと近づいて水瓶と適当な歴史書を渡してくれた。
だんけだんけ。
どっかで控えてたのか、優秀だなぁ。
ご厚意に甘えて、今朝は座ったまま読書にしようか。
――――――――――
陽も高くなり外の熱気がモワっと室内に入るようになると、ようやくお嬢様起床。
「んーっ、おはよー!」
「おはよう。
少しはすっきりした?」
「ありがとう、ちょっと一人で抱え込みすぎてたみたい。
私にはたくさんの支えてくれる人たちがいるし、自分のページにも、そのたくさんの人たちのページにも一杯色んなことを書き込みたいよ」
「元気になったようで何より。
じゃあ、これもあげよう」
腰袋から市場で買った銀板を渡す。
「本当はラッピングしたかったんだけどね、改めてお誕生日おめでとう」
瞳をウルウルさせてヤバい!と思ったが、動き的に首~肩へハグして泣き出したので敢えてそのまま。
そこの侍従さん、ニコニコしてる場合じゃないぞ。
落ち着いた頃にそっと手を添え身体を離す。
「そういえばサブロとシロ子はどうした?」
「私の部屋で、今はどっちも寝てる。
銃弾の当たったのはサブレで、右後肢の太股を貫通して手遅れにはならなかったみたい。
周りの毛を剃って止血して、あとは薬をつけて包帯してるよ」
女子の部屋には入れないよな…と逡巡してたら、さっさとタロ・ジロはのそのそ入っていく。
さっきの侍従さんを呼び、念のため一緒に入ってもらう。
サブロは思ったより元気そう、でもしばらく朝鍛錬はダメだな。
このお屋敷は他にも何頭か犬や猫を飼っていて、馬や牛までいる。
馬は移動手段としても使われるけど…牛は?と思ったら、畑の使役や乳牛として確保してるそうな。
犬や猫たちは出入り自由なのに、屋敷内はいたって清潔。
掃除大変だよ、これ。
サブロはシロ子の時より大きい傷だけれど、治療に専念できる環境があるのは嬉しい。
専属の獣医さんもいるみたいだし。
――――――――――
そろそろお昼時なので、ブランチとして食堂へ降りる。
やっぱり伯爵様おいでだった。
「よかったルイーズ、出てきてくれたんだね」
「はいお父様、ご迷惑をおかけしました」
「いいんだ、怪我はなかった?」
「大丈夫です。
後で獣医の先生にお礼を言わせてください。
それから、何が起こったのか食事しながら教えてください」
「…わかった。
いずれせねばならない話だ、ケイン君も関わりそうだから同席しなさい」
「はい」
――――――――――
※オマケ
Q.なんでこんなどマイナーなバンドの、しかも知名度激低い曲の和訳を無断転載なんかしてんの?
A.しょうがねえだろ、好きなんだから。
無断…なんだけど、手作業意訳だから許して。ごめんねごめんね。
原曲
RAGE - turn the page
https://youtu.be/5DK50u0DHvI?si=vvhoWtmPolNu1Htw
でも懲りない、そのうちまたやる。
好きなものは好きと言い張って憚らない所存。
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