003 バカなの? 優等生なのにバカなの?
体育祭が終わり制服が冬服に替わってから、
「君も黒天寺を目指してるんだって? だったら僕たちの仲間にならないか」
神崎がいつものニコニコ顔で
実際鍾子のことも本気で付き合ってるとは思えない。二人が楽しそうに話してる絵が想像できない。不良どものスタイルを褒めそやしながら裏で点数稼ぎで平気で先生にチクるような奴だ。クレバー? 小狡いだけだろ?
「そうかい……残念だよ。だったらせめて邪魔だけはしないでくれよ、カカシくん。いや
何だと? どうしてここでその名前が神崎から出てくる?
蛾眉丸純兵と戦ったときにいたのは
「そうだよ。僕が
ちょ、こいつ自分からあっさり正体をバラしたぞ? そんなことをして何の得があるんだ?
「君にも
さすがに秀才はまともだな。しかし今の話で大分内情が分かった。
少なくても
そしてその目的が
問題はそこから先の部分だ。
「隠しても無駄だ。もう分かっているんだからね。君が錬金術師……」
神崎が
「……を匿っている『協力者』だということはね。そのおかげで君も力を手に入れたんだろう?」
は? 何を言っているんだこいつは?
「君が恩恵を受けていると言ってもせいぜい【肉体強化】程度なんだろう? それじゃあ『正統』な錬金術師、ソロール・カルドンから直に剣を授かって
そう言って神崎龍斗は
「まあそんなに怖がらなくてもいいよ。邪魔をしないならソロール・カルドンは『無名』の錬金術師程度は放置していいと言っていたし。それよりも今は
ぺらぺらとよく喋ってくれるな。しかしこれで神崎という人間が改めてよーく知ることができた。
こいつは頭はいいかもしれないがそれだけだ。賞状やトロフィーを自慢して壁を額で飾りたいだけ、ただのコレクターだ。パーティで蘊蓄をひけらかして人を論破して注目されたいだけのクズだ!
ついでに言うと駆け引きを知らない、情報をさらけ出して右手を差し出せば相手も握手してくれると思っている
そもそも正統な錬金術師とは何だ、ゼロワン? 結社や教団に所属してフラターまたはソロールの同胞名を持つものを言う? 偉大な錬金術師アレックス=クロウディも当然持っているが助手であるゼロワンは持っていない? ああ派閥のくだらない格付けのことか。
そして同胞名は錬金術師としての
しかし錬金術師も『正統』と『無名』とでは天と地の開きがあるという認識だことか。例えるなら医者と医大生のような明確な差が存在する、言い換えればそれが神崎と
そして神崎の
ここで
「ああ、その女はもう別人だよ。ほら、もと恋人に挨拶ぐらいしろよ!」
「ワタシはドーラ……ソロール・カルドン様に作られた助手、神崎龍斗の……」
「おい、僕のことは『龍斗さま』だろ? 忘れるなよ!」
神崎が鍾子の髪を掴んで頭を乱暴に揺さぶる。苦痛に顔をゆがませるがしかし鍾子は抵抗しない。
「もうしわけありません……ワタシは龍斗様の忠実な
「錬金術が使えてもこうなったらどうしようもないな。こいつはもう人じゃない。中身はマンドラゴラから作られた人工生命体らしいよ」
なんとなく想像はついたが鍾子も
現時点で地球人がそのまま錬金術師にはなれない。あるとすれば
更にその勘違いと自分が『正統』な錬金術師、ソロール・カルドンに選ばれた
それにしたって
「ああ、もう興味が失せたんだよ。従順な女だから好きに調教できると思って楽しみだったんだけど、これじゃもう
調教? 胸を揉む? コスプレでエロ本? ……そうか、あの日のチャイナドレスもお前の趣味だな。うんうん……この変態野郎が! てめえはいつか八つ裂きにして犬に食わす!
……まあ落ち着こう。そうは言ってもここで神崎をぶちのめしても事態は何も変わらない。後ろにいるソロール・カルドンを倒さなければ次の
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