第7話 炎の使い人
契約完了か。これで多少は強くなったんかな?
「っち、めんどくせぇことになったな…」
奴はそう言いながらポッケからナイフをもう一本取りだした。
どうやら本気で行くみたいだな。
「双川、契約の影響で力は前よりも上がってる。契約したてとはいえ、運動神経ある程度いい奴程度はあるはずだ」
たしかに、いつもよりも体が軽い。力が増えてるのも感じる。
「まだ慣れてないうちにぶち殺す」
奴はそう言うと、こっちに向かって走ってきた。
なんだろう、遅いな…
【ヒートアクセル】
俺は、踏み込みからの居合一閃を決めた。刀に赤い炎が燃えている。まるで消えることを知らないかのようにものすごい勢いで燃えている。
「っく、なんだこれ…」
奴の体は炎で埋もれている。あれは熱いとか痛いとかの域を超えてるな。
「くそ、調子にのるな!」
奴はそう言うなりナイフを振り下ろして体の火を消した。いやどういう原理だよ。
【かまいたち】
すると、奴にかまいたちが寄ってきた。しかし、酒呑童子にやられたのだろうか。傷だらけで、意識を保つのも辛そうだ。
【大竜巻】
すると、俺たちをここに呼び寄せた原因の竜巻が奴の前に移動し、こっちに向かってきた。
「どうだ!俺の切り札だ!お前なんかが耐えられるわけない!」
うーわ、すげーこいつハイになってる。まぁいいや。
「そうなんだ。でも別にそんな情報はどうでもいい。耐える必要性はないから」
正面から打ち勝てば済む話だ。
【バーニングレクイエム】
すると、地面が所々、小さな炎で燃え始めた。
俺は、その炎を踏みながら竜巻に近づいていく。踏むたびに刀の炎の勢いが強くなっていく。
ドーン ドーン
竜巻から岩やベンチが飛んでくる。多分、竜巻に巻き込まれたものだろう。でも、それを避けながら炎を踏むのは難しいことじゃない。
そして最後の炎を踏み、竜巻の目の前まで来たときには、刀の炎は俺の背の十倍近くはあった。
ザシュッ
俺はその刀で竜巻を一刀両断した。そして、竜巻を斬った先には奴がいる。
この長さなら届く
俺はそのまま刀を最後まで振り下ろした。
奴は、声を発する間もなく、斬られてしまった。
ふぅ、終わったか。
俺は、火の消えた刀を鞘に戻した。
「頑張ったな。双川」
後ろから酒呑童子が声をかけてきた。
「まぁな。思ったより相手が強くなかったしな」
「余と契約しなかったら負けてただろ」
「それを言うな」
そういいながら、俺と酒呑童子は無意識のうちに笑いあってた。
「あれ?これ雨やんだか?」
おれはふと、さっきまで降っていた雨がやんでることに気が付いた。
「そうだな。多分、かまいたちの竜巻の影響で降ってたんだろう」
「あー、なるほどね。じゃ、さっさと帰りますか」
「そうだな。しばらく住ませていただくぞ」
「親にばれないようにしてくれよ」
「いいのかよw」
そんなことを言いながら歩く俺たちの進行方向には、来た時にはなかった虹がかかっていた。
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