第5話 未契約の業火

いくら余とはいえ、未契約だと結構力制限されるけど、頑張るか。


狼煙斬りのろしぎり


狼煙斬り。剣を扱う化け物ならだれでも持つといわれる踏み込みからの居合一閃を決める技の一つだ。狼煙斬りの場合、ほかの奴らのと比べると速度こそ出ないが、踏み込むとき、煙で自身の体を隠すので動きを読まれにくい。しかし…


ジャキーン


かまいたちは、自身の前足で余の金棒を止めた。


「やっぱり、一撃じゃ無理か」


本来刀で使う技を金棒でやったというのも大きいだろうが結構しょぼかった。契約時の余だったら倒せてただろうが。やはり化け物にとって、契約してるかしてないかは大きい。


「シャー!」


かまいたちはそのまま余を押し返し、前足で刺そうとしてきた。


「させるか!」


炎捌きほむらさばき


かまいたちが余の体を貫いた時、貫かれたはずのところが炎に変わった。


「シャ⁉」


かまいたちは驚き、一瞬スキができた。余はそれを見逃さず、金棒で殴った。


「シャァァァ」


かまいたちはそのまま後ろに下がった。


痛い


炎捌き自体、傷を負わないための技であり、ダメージをなくす技ではない。なので、怪我はしなくとも痛みは感じる。それでもある程度は軽減できる。しかしあまりにもその軽減率が低すぎる。あまりこの技は乱用できないな。


「シャー!」


かまいたちは攻撃の手を止めない。受け身を取ってはいるが、いつまで耐えられるか。

未契約。正直言ってなめてたな。思った以上に縛りがきつい。おまけに金棒一本。刀貸すんじゃなかった。

でも、まだ死にたくはねぇしな。ちょっとだけ無理するか。


烈火れっか酒狂さけぐるい】


すると、余の金棒が燃え始めた。ここまではほかの技でもよくあることだ。かまいたちも気にせず攻撃を続けてくる。しかし、この技はそんなんじゃ終わらない。


金棒の炎は余の腕に燃え移った。そして、胴、頭、足、余のありとあらゆるところが燃え移った。


ブウォン


余が金棒でかまいたちを攻撃した。かまいたちはそれにすぐ反応し、受け止めようとした。しかし


ドーン


かまいたちは余の攻撃を抑えきれず後ろに吹っ飛んだ。


「やっぱり、この技便利だな。未契約でもお前程度なら十分倒せる」


その分、全身常に燃えてるから常に体中痛くて熱いけどな。


「シャー!」


すると、かまいたちは自身の体に竜巻をまとわせ始めた。かまいたちは、風を操る化け物だ。余の炎を操る能力もそうだが、自身の能力を全身にまとう技は扱いやすく、威力も高い。低級の化け物ならそれが切り札の奴も多いだろう。上級の化け物でも応用を効かせて切り札にしてるやつがいる。けど


「本当によかったよ。未契約時に戦う相手がお前程度で」


ドーン!


余は、金棒を全力でかまいたちにぶつけ、吹っ飛ばした。かまいたちはそのまま近くの木にぶつかり、気を失った。


さて、こっちは一件落着かな?さて、双川の方はどうなってることやら。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る