第4話 かまいたち
「着いたぞ」
酒呑童子は足を止めそういい、俺を下した。
そこは、学校近くにある公園だ。公園といっても遊具などはわずかしかなく、自然公園といった方が伝わるかもしれない。
「双川、あれ見てみろ」
酒呑童子がそう言いながら指さした先を見ると、そこには確かに竜巻があった。竜巻を実際に見るのは初めてだが、そんな俺でもわかる。
でかすぎる。なんも前触れもなしに起こっていい大きさではなかった。
「でっか」
俺は思わず声に出してしまった。
「この大きさの竜巻、自然発生なら日本ではまずありえない」
「なるほど。だから化け物の仕業と」
「そうだ。しかし、だとしても少し大きいな。強力な化け物の仕業か?それとも…」
すると、竜巻の中に人影が見えた。
「え?竜巻の中に人?」
「やっぱりか…」
「やっぱりかって何?どういうことだ」
「子の竜巻出した化け物は、人間と契約している」
そして、竜巻の中から一人の男が出てきた。二十代後半くらいだろうか。銀色の鎖のネックレスをし、耳や口、ありとあらゆるところにピアスを付けたイカつい男だ。
「ったく、誰かと思えばガキと化け物か。俺たちを止めに来たのか?」
男は荒々しい口調で言った。
「そうだ。今すぐ手引くっていうんなら許してやるがどうする?」
「それはこっちのセリフだ。早く引かねぇとお前もそこのガキも怪我じゃ済まねぇぞ」
「そんな気はしたが説得は無意味か。わかった。なら力で分からせる」
酒呑童子がそう言ったかと思うと、酒呑童子の両手に炎の棒が現れた。そしてそれは次第に形がはっきりとし始め、そして最終的には金棒と刀になった。
「双川、刀使え」
そういいながら俺に刀を投げ渡してきた。
「何勝手に運動できない一般高校生異次元バトルに巻き込んでんだよ」
「いいだろ。お前鵺一匹倒したんだから」
「まぁ、ここまで来たらやるしかないか」
俺はそう言って刀を抜いた。
「生意気なガキだな。俺がしつけてやるよ」
そうして男はぽっけからナイフを取り出し、こういった。
【かまいたち】
すると、竜巻の中から白いイタチが現れた。前足が刃のように鋭い。どっからどう見てもかまいたちだ。
「気をつけろ。契約を結んでいるならあいつらの強さは鵺の比じゃない。余はかまいたちをやる。お前は男の方をやれ」
「わかったよ。さっさと終わらせて助けてくれよ」
そういって俺と酒呑童子は、それぞれの対象のほうに走り出した。
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