第2話 赤い炎、青い炎
化け物?
初めて聞く単語ではない。なんならそれなりには聞きなれた言葉ではある。でも、よくわからない。実在するなんて思ったことがなかった。ずっと架空の存在だと思っていた。でも、目の前には化け物を名乗る鬼・酒呑童子と、鵺がいる。
「おい、何ボケっとしてるんだ」
酒呑童子が少し大きな声で言った。それに少し驚きながら酒呑童子のほうを見たとき。
「ヒョォォォォウ‼」
酒呑童子の後ろから鵺が襲い掛かってきた。
「あ、危ない!」
俺がそう言い終わるのを待たずに、酒呑童子は振り返り
ブウォン
金棒を振り回し鵺を遠くに飛ばした。
「ったく、こりねぇな。ちょっと一回痛い目見させないとだめだな」
すると、酒呑童子の持つ刀と金棒が赤く燃え始めた。
その酒呑童子はそのままゆっくりと鵺に近づいていく。
「ヒ、ヒョォォォォウ!」
鵺が飛ばす電気をまとった弾を酒呑童子は金棒で弾き飛ばしながら進んでいる。そして鵺の目の前に来た時
ブウォン
刀で鵺の首を斬った。炎をまとっているからなのか、はたまた酒呑童子の力がすごいのか、とても刀を振ったとは思えない音だった。
鵺も首を斬られたらさすがにもう無理だろう。倒れて全く動かない。
「おい、双川とか言ったか。大丈夫か?」
酒呑童子がこっちを向いて聞いてきた。
「あ、はい。ありがとうございます」
すると突如…
『ヒョォォォォォウ!』
当りに鵺の鳴き声が鳴り響いた。それも一匹や二匹ではない。
「囲まれたか。最低でも50はいるな」
「ご、50⁉」
「低く見積もってもだから本当はもう少しいるだろうな。さすがにこの数は一人でやるのは厳しい。双川、手伝え」
「うん…え?は?ちょっ」
「ほら、刀貸してやるから」
そう言って酒呑童子は俺に刀を投げ渡した。
「ああ、これ死んだわ」
「安心しろ、葬式には来てやる」
「なんで?」
「リモートで」
「化け物意外と近代的。なんかヤダ」
「茶番はもういい。死にたくなきゃ手伝え」
「はい…」
俺、運動神経皆無だけど大丈夫か?
『ヒョォォゥ!』
鵺の群れがありとあらゆる方向から襲い掛かってきた。
「雑魚が群れようと雑魚なことには変わらない!余の敵ではないわ!」
【
酒呑童子のの体が燃えだし、そのまま鵺の群れに突撃していった。
「何技みたいなの持ってんの?あいつ一人でよくね?俺いらんだろ」
一人で少しだけキレてると
「ヒョォォォウ!」
鵺が一匹、俺に襲い掛かってきた。
「え?俺?」
俺は慌てて刀で攻撃を受け止めた。
一匹しか襲い掛かってきてないのが不幸中の幸いだ。他の鵺は全員酒呑童子に襲い掛かっては倒れている。本当に俺いるか?
けど
「鵺、悪いがあいつは助けてくれそうもないし、俺もまだ死にたくない。だから黙って斬られてくれ」
俺は鵺を蹴り飛ばした。
生身の高校生が鵺に勝てるか?いや、勝てるな。勝てるだろう。勝てるってことにするか。
俺は鵺に斬りかかった。しかし、鵺はそれを前足で止めた。
うん、だよね。そりゃそうだよな。力比べで勝てる気は正直しない。
死を間近で感じる。まさか今日だけで二回もそう思うとはな。でもな鵺、残念だったな。
「この戦い。俺が勝てるってことになってるんでな」
すると、俺の持ってる刀が急に熱くなりだした。
「ヒ、ヒョォウ…」
鵺はその熱さに耐えられず後ろに下がった。
ブオッ
突如、刀が燃えだした。酒呑童子が持ってた時のように。でも、赤ではなく、青く燃えている。
「何があるかわからないな人生って」
「ヒョォォォウ‼」
鵺は俺にまた飛びかかってきた。しかし、今度は電気をまとっている。けど、動きは変わらない。
「二回目が通じると思うな」
ズバーン
俺は鵺の攻撃をかわしながら、体を一刀両断した。鵺はそのまま倒れて起き上がらなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます