化け物祓い
あつかち
契約編
第1話 鵺と酒呑童子
ジリリリリ…
部屋の中に安眠を邪魔するような耳障りな音が鳴り響く。目覚まし時計の音だ。
まだ眠い…
人間の睡眠欲は凄まじい。俺は、見覚まし時計の音を止めて、また眠りについた。
それかなどれくらいの時間がたっただろうか。どこからとなく、ドンドンドンと足音が聞こえてきて、目が覚めた。
「あんたいつまで寝てるの?もう八時よ?」
「は?マジ?」
母さんからのあまりにも衝撃的過ぎて眠気が完全に吹っ飛んだ。俺の家から学校までは大体一時間ぐらいだから今から急いで行っても着くのは九時ごろ。そして学校は八時半までに来ないと遅刻になってしまう。まだ高校生活始まったばかりなんやけど?
「とりあえず学校には腹壊したって言ってごまかしとくから、急いで行ってきて」
「わかった。ありがとう」
これなら先生には怒られないな…
しかし、だからと言ってゆっくりはできない。俺は、急いで制服に着替えて家を出た。
カーンコーンキーンコーン
「それではみなさん気をつけて帰ってください。さようなら~」
学校中にチャイムの音が鳴り響くと同時に、担任が言った。
今日は大変だったな。次からはちゃんと朝起きよう…
そんなことを思いながら俺は学校を出た。
なんか腹減ったしハンバーガーでも食ってから帰ろうかな?
いきなり雨が降ってきた。
今日は雨の予報じゃなかったはずなんだけど、おかしいな…
すると
ドガーン
目の前で雷が落ちた
「うわびっくりした…」
雷が落ちた場所は煙が出てるてよく見えない。しかし、その煙もだんだんと晴れてきた。
ふと、中に何かがいるのが見えた。四足歩行の動物だ。高さは俺の膝くらいまではあるだろうか?猫にしては大きすぎる。しかし、大型犬にしては細身だ。
なんなんだあれは?
やがて、煙が完全に晴れてその前身があらわになった。
顔を見たときは、猿だと思った。しかし、それは違った。
胴体は狸、四足は虎、尻尾は蛇だった。そして、俺はこの特徴に当てはまるものを一つだけ、信じたくないが知っている。
「まさか、鵺…?」
ゲームとかで見たことがある。でも鵺って、架空の生物じゃ…
でも、確かに今俺の目の前には鵺がいる。
「ヒョウ…ヒョォォォォォウ‼」
鵺が、体に電気をまとってこっちに突撃してきた。
「やばいっ」
俺は急いで横に転ぶように避けた。
鵺はそのまま俺の横、俺がさっきまでいたところをものすごい勢いで通り過ぎた。奴の通ったところから黒い煙が立っている。
「あれをもろに食らってたら即死だったな…」
今回は運良く避けられたが、あのスピードだ。次はないと思った方がいい。あいつは人が正面から殴り合って勝てるような相手じゃないのに、俺運動神経最悪とかどうすりゃいいんだよ…
「ヒョォォォォォウ‼」
鵺がもう一度突撃してきた。俺はまた避けようとしたが、俺はその途端わかった。
避けきれない
ああ、これ終わったな。短いくせにろくな人生じゃなかったな。高校生活まだ始まったばかりなのに…
鵺が目の前にきて、次の瞬間にはぶつかって死ぬなと思った次の瞬間だった。
ジャキーン
何か、金属がぶつかった音がした。
「ったく、弱いガキ一人ボコって楽しいのか?雑魚化け物が」
前から、何者かの声がした。そこには
身長は二メートルほどだろうか。右手には金棒を持ち、左手に持つ日本刀で鵺を止めている、腰にヒョウタンをつけ、頭に二本の角が生えた男の人。いや、鬼がいた。
「おりゃ!」
そいつは鵺を刀でそのまま遠くに飛ばした。
「大丈夫か?」
「あ、はい。ありがとうございます」
この鬼、鬼のくせに優しい。鬼ってもっと凶暴なイメージだったんだけど…
「お前、名はなんだ」
「あ、
「余の名は酒呑童子。化け物だ」
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