第1週 2話

年鑑 フューチャー・ウォーカー

WEEKLY 1st 「未来人ですが何か問題でも?」


≪2≪


「…君はいつもで生活しているのか?」

「ああ、これ?やっぱり変かな?」

「明らかにおかしいぞ、金髪も好かん!」

「え?生まれてからずっと同じ色だからな~…」

「もういい…君と話していると何か疲れる…行っていいぞ」

「あらそう…では、さようなら」

「全く…最近の若者は…耳に穴を開けたり…肌の色を黒くしたり…理解できん…帰って寝るとするか」

 町会長はパトロールを止めて、呆れ顔で家路に就いた。そして、謎の女性は野比坂一刻のびざかかずときが住むアパートに向かった。

 

 町会長が言った通り、1階は喫茶店だが、とっくに営業時間は過ぎているため、店内は真っ暗であった。謎の女性は階段を見つけて、気分よく2階に駆けあがって行ったが…

 

 住居室は2部屋あり、1部屋は空室だった。謎の女性は灯りが点いてある部屋で立ち止まり、呼び鈴インターホンを鳴らそうとするが…


「…何だ、こんな時間に…うるさいな」

 2階の住居者は眠気に襲われていたが、突然の呼び鈴の音で目が覚めていった。そして、不機嫌な顔で応対するわけだが…


「どうもこんばんは~」

 謎の女性は、2階の住居者に愛想よく挨拶した。

「あんた誰?」

 2階の住居者は、謎の女性とは全くの初対面だった。


「…夜分遅くにごめんね、あなたが野比坂一刻さんね?」

「はい…何で僕のこと知ってんの?」

「説明すると長くなる…とにかく部屋に入れてくれない?」

「は?意味が分からん、もう寝るから帰ってくれ」

 2階の住居者である冴えない青年、野比坂一刻は謎の女性の来訪を迷惑がって、必死に追い返そうとするが…

「?」

 謎の女性は、さっきのように利き腕に装着された腕輪を差し向けた。すると、一刻の様子がおかしく、彼の目が虚ろになり、素直に謎の女性を招き入れた。



「…!?」

 それから時間が経ち、一刻はいつの間にか、自分の部屋に謎の女性を招き入れていた。

「…ごめんなさいね、強引にお邪魔させてもらって…」

「あんた一体何者だ?何をした?」

 一刻は錯乱状態になり、謎の女性を恐れた。

「ちゃんと説明するから、落ち着いてよ」

 謎の女性は説得を試みようとした。そして…


「あれ?おかしいな…」

 一刻は警察に通報しようと携帯電話を使うが、何故か繋がらず、固定電話も役に立たなかった。

[一時、電磁波遮断…一部の電力供給を切断…]

 どうやら、青いダルマの仕業であった。そうとも知らず、一刻は次の対策を考えるが…


「分かった…これは夢だ」

「ちょっと…何やってんの?」

 一刻は謎の女性の前で、自分の頬をつねったり、壁に頭をぶつけたりと異常な行動を起こし始めた。


「…めちゃくちゃ痛い…どうなってんだ?」

「夢じゃないから、現実の世界よ!」

「そんな馬鹿な話が……!」

 一刻たちは話している最中、外の人間の気配に気づいた。

 一刻の住居室の呼び鈴が鳴り、彼が扉を開けると、1人の中高年男性が腕を組みながら立っていた。


「随分と騒がしいが…誰かと一緒にいるのか?」

「叔父さん…」

 訪ねて来たのは、下階したの喫茶店の経営者、一刻の叔父だった。叔父は普段穏やかだが、怒らせるとかなり怖いようだ。

「やかましいぞ、今何時だと思ってる?」

「…面白い番組やってたから、ついテンションが上がっちゃって…」

 一刻は叔父を宥めて、その間、謎の女性は息を殺していた。


「また騒いだら…本気マジでぶっ飛ばすぞ」

「はい…すみませんでした」

 下階の鬼は怒りを鎮めて、大人しく去って行った。


「…あの人、親戚?おっかないわね」

「トラブルがあったら、すぐ追い出されるんだ、頼むから帰ってくれ!」

「そうはいかないわ、私はあなたに用があって、来たのよ」

「何処から来たんだ?風俗は行かないし、変な勧誘はお断りだ」

 一刻はまだ謎の女性のことを疑い、2人の距離が縮まることはなかった。謎の女性は呆れるばかりであった。そして…


「…もう正直に言うわ、私の名はナギ…この時代の人間じゃない、24世紀から…タイムマシンで来た未来人なの」

 

 一刻はナギと名乗る謎の女性の衝撃的発言で、感情を失ってしまい、しばらく無の力が彼の体を支配した。

 何はともあれ、2人はめぐり逢い、話はまだ続くのであった。

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