前置き

年鑑 フューチャー・ウォーカー

▽前置き


進むべき道は決して未来だけとは限らない。


 もし、タイムマシンがあれば、どの時代に行きたいか考えたことはあるだろうか、恐竜が好きなら太古の時代、武将や時代劇好きなら戦国時代や江戸時代、西部劇が好きなら米国開拓時代、古代文明に興味があればその時代へ…

 行ってみたい時代は様々だろう。例え、タイムマシンが存在しなくても想像は無限に広がっていくだろう。

 

 では、タイムマシンがあなたの眼前にあると仮定して、操作方法についてだが、まず、利用者はヘルメットと防護服を着用する必要がある。亜空間は強力な電磁波が生じており、人体に害を及ぼし、死に至る場合があり、それを防ぐためのものだ。


 次に利用者トリッパ-は、行きたい時代・場所の地図を検索。移動先の座標、時刻など情報を入力していく。入力後に利用者が転送円陣ジャンプサークルに立つと、装置が作動して操作は完了となる。


 利用者が宇宙空間へ転送されて、ブラックホールに到達すると、時空の旅が始まる。移動中は螺旋らせん状のトンネルを通っていき、まるでウォータースライダーのようである。その時だけ感覚はほとんどなく、生きた心地がしない。


 実験当初、時間移動時の衝撃で気絶したり、乗り物酔いのような症状が起きたり、元の時代に戻れなかったりと、苦労や失敗が絶えなかった。

 そして、経験を積み重ねて、改良アップグレード化により、安全性を重視した時間旅行が実現した。


 自身が住む時代に戻ってくる時間帯は、出発時刻から約1分後。例え、別の時代に長期滞在していても、ほんのわずかの出来事に過ぎず、超最短の旅行が楽しめる。 

 堅苦しい話が長々と続いたが、少しでも時間旅行タイムトリップした気分を感じてほしい。物語は結構軽いソフトな雰囲気である。


 さて、時は宇宙暦2349年3月某日。

 1人の女性がタイムマシンを利用しようと、手際よく装置を起動させた。目的地は1998年の東京都心郊外であった。彼女は何かを内に秘めて、過去の時代へと駆け抜けていった。

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