第55話 ベッドでも最強



 発情したフェンリルは、ヤバかった。

 体力がバカみたいにあるのだ。何度もやっても疲れ知らず。


 

「はわわ……すご……」


 アホエルフは顔を赤らめたまま動かない。

 止めない。というか、止められない。それくらい飢えたフェンリルは、獰猛だった。


「くっ……!」


 このままじゃ……いかん。

 男として、情けない姿を、エリスに見せてたまるもんか。

 

「舐めるなよ……!」


 今なお俺をむさぼろうとするシロの腕を、俺は左腕でつかむ。

 そして……。


「~~~~~~~~~~~~~~!」


 シロは体をこわばらせる。

 そこから一転し、俺はシロを攻めた。


 で、だ。

 シロは満足そうな表情でコロン、とその場で気絶してしまった。

 さっきまであった発情顔はどこへやら。

 今はすやすやと安らかな笑みを浮かべている。


「はぁ……はぁ……満足して眠ったか」

「だ、ダーリン大丈夫……?」

「ああ……まあな……ちょっと危うかったが……」


 地下を出てから、一番死に近づいていた気がする……ふぅ……。


「それにしても、ダーリン。シロちゃんに何したの? なんか、とんでもないことになってたけど」


 とんでもないことの詳細を語るわけにはいかんが……。

 まあ、とんでもなかった(語彙)。


「媚薬を投与したんだよ」

「び、媚薬……?」

「ああ。妖刀の毒で作った媚薬でな」


 妖刀はあらゆる毒を生成できるのだ。

 毒を作れるということはつまり、薬も作れるということ。


 そこに大賢者ジョン・スミスの知識も加わることで、俺は世界最強の媚薬を作り出したのだ。


「あとはスキル毒息吹でアウトプットしたってわけだよ」

「へ、へえ……そ、そうなんだぁ~……」


 もじもじとエリスが体をよじっている。

 しかも、倒れているシロを何度も見て、ごくり……と生唾を飲んでいやがった。


「ちちちち、違うよダーリン! 私も媚薬欲しいとか思ってないから気持ちよさそうとかちょっと試したいとかまったくこれっぽっちも思ってないからほんとマジだから!」


 ……まだ何も言ってないし。

 しかしこいつ、こんな感じに乱れるとわかっていても、媚薬を使いたいと思ってるんだと……?


「バカかおまえ。フェンリルがこうなる強力な媚薬だぞ? それをエルフのおまえに使ったら、元々パーなのが、もっとパーになるじゃないか」

「ぱ、パー……。パーにな、なりたいなぁ~なんて……」


 え、エロエルフが……。


「ダーリンあのね。エルフってね、出産率がめっちゃ低いんだ」


 なんか急に真面目な顔で、真面目な話しだしたぞ。


「長命種族だからかな。子孫を残す必要がなく、子供をね……なかなかはらめないの」

「…………」

「でもね。私……ダーリンの赤ちゃん欲しいんだ。だから……きゃっ!」


 俺は媚薬をかなり薄めて、投与する。

 エリスがうれしそうに顔をとろけさせる。


 ……そして、まあ。

 エリスと俺は激しく愛し合ったのだった。

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