第31話 超強化完了、ボスとの再戦
賢者ジョン・スミスから特級呪物をすべて受け継ぐことになった。
それから、1ヶ月くらいが経過。
その間、俺は小屋の中で呪物を使いこなせるように練習した。
小屋の中にはご丁寧に練習場まであった。創造魔法で作った異空間だったらしい。
また、その間の食事はエリスが作ってくれた。
食料についはジョンが残してくれた畑やらがあったので、そこから拝借した。
エリスは献身的に俺のサポートをしてくれた。
メイドみたいな真似をさせてるのに、あいつってば喜んでいた。奥さんみたいだってさ。
……ちなみにだがもう彼女とは【いろいろ】済ませている。
恋人関係人なったからな。
それにしてもエリスは夜になると……いや、詳細は省こう。
ともあれ、一ヶ月の修行期間を経て、ようやく外に出る準備が整ったのだった。
「ダーリン……かっこいい~♡」
小屋の入り口にて。
エリスがぽーっとした顔で俺を見ている。
「新しいダーリン……ちょークールですよ!」
この一ヶ月で装備品もかなり様変わりしてる。
前はただの黒いコートだった。
今は赤いラインが入っており、より禍々しいデザインになっている。
またフードも付いてる。これについてはまあ別の機会に。
続いて俺の左腕には呪符が巻かれている。
包帯に、封印の魔法文字が刻まれている物だ。これを巻くことで、黒獣の動きを抑制できる。
この黒獣の腕ってやつは定期的に飯をやらないと、腹を空かして暴走し出すのだが。
この呪符を巻くことで、飢えを押さえられるのだ。
続いて俺は左右で違う色の目をしてる。
右目は黄金。
左目は赤い。それぞれ違う魔眼である。右目は【魔鏡眼】。左目は【妖精眼】という。
それぞれの効果については追々。
右手には5つの指輪がはめられている。
「ダーリンとおそろの指輪……てへへへ♡」
同じデザインの指輪をエリスにも持たせている。
これは【暴食の指輪】といって、体内の魔力を食ってくれる効果がある。
俺は【とある事情】でとんでもない魔力量を手に入れてる。
が、体の中にとどめすぎると、体が破裂してしまう。だから、この暴食の指輪を使って余剰魔力を食ってもらっている。
それだけでも足りないから、【反転・暴食の指輪】をエリスにつけさせてる。
これは暴食の指輪で食った魔力を、エリスに分け与えるというものだ。
「ダーリンとの結婚指輪です~♡ てへへ~♡」
「そんな呪物より、ちゃんとした指輪を贈ってやるよ」
こいつに告白し、その後何度も体を重ねた。
俺はエリスに対して深い愛情というものを抱くようになっていた。
エリスにはちゃんとした指輪をプレゼントしたい。のだが……。
「ううん♡ いいのこの指輪で。だって一生外せない指輪なんでしょこれ? ダーリンからの愛を感じる♡」
反転・暴食の指輪は対となる指輪(俺の付けてる指輪)が壊れない限り、一生取れないというデメリットがある。
無毒を使えないエリスはこのデメリットをもろにうけてしまうのだが。
彼女はなんかそれがいいっといってくるのだ。
一生取れないことがうれしい……か。理解できるような、できないような……。
「それと……ダーリン。その髪の毛……」
俺の髪の毛は元々真っ黒だった。
しかし今は、黒髪に加えて、毛先に赤いインナーカラーが入ってる。
「おっしゃれ!」
「……おしゃれでいれてるんじゃない。これは、変装用だ」
「ほ? 変装?」
「ああ。ちょっと見てな」
髪の毛が一瞬にして、黒から赤に変わる。
それだけじゃない。
「!? だ、ダーリンの顔まで変わっちゃった!? それに……身長も!」
俺はすぐ元の
「特級呪物【変色龍】。もとは染料なんだが、これを塗布すると変身能力が手に入るんだよ」
髪の色、顔体の形、そのすべてを自在に変えられるのだ。
「ダーリンは元のダーリンの姿が一番です!」
「……ありがとな」
俺が褒めると、エリスが目を閉じて「ん~♡」と唇を突き出してくる。
こいつは、最近褒めたご褒美を要求するようになってきた。
エリス褒める→キス要求みたいなかんじでな。まったく……。
前の俺だったら拒んでいただろう。
だが、ここで拒むとこいつうるさいんだ。文句言いやがる。ダーリンは私とキスしたくないのかみたいな。
あげく「愛されてないんだ~」と泣くフリまでしやがるようになった(もちろんフリであって本気じゃない)。
だからまあ、もうめんどくさいので、ご褒美を要求されたら……。
くいっ、と顎を持ち上げてキスしてやる。
……まあ、エリスとのキスは心地良いんだ。こいつをすぐ近くで感じられる。
「うえへへへ♡ ダーリンとのちゅー、大好きです♡」
「あ、そうかい。そりゃよかった。人目があるとこじゃやるなよ」
「もちろんっ!」
……信じられんな。ったく。どうせ外でもところ構わずキスを迫ってくるだろう。
やれやれだ。
さて。
「じゃあ……行くか」
「はいっ!」
ちなみにエリスのビジュアルも多少変更されてる。
腰にエクスカリバー、鎧も新調してある。だが基本的なスペックは【あまり】変わっていない。
なぜなら、創造の大賢者の遺物はほぼ呪物であり、エリスでは装備できなかったからである。
まあ、賢者の残した魔導書を読み新しい呪文をいくつか覚えたようだが。
それでもこいつが知性のステータス低いっていう短所が消えてるわけじゃない(魔法攻撃力が弱い)。
基本的に前に出て戦ってもらうことになるだろう。
まあ、大丈夫。もう俺はエリスを絶対傷つけない。
そのために、訓練をしたのだから。
「わ! 外久しぶりですね~」
俺たちは憤怒のダンジョンの
振り返ると賢者が作った小屋がある。
俺は小屋に手を置く。
すると、小屋がバキバキ! と音を立てながら変形していく。
やがて、足下に小さな箱ができあがっていた。
「これも呪物なんですね」
「ああ。こんな風に、手のひらサイズの箱に変形できる呪物だ。これももっていっていいってさ」
俺の中には大賢者ジョン・スミスの記憶がある。
彼は俺に、自分の物をすべて譲るといっていた。すべてとは、文字通りすべてだ。
ジョンが住んでいた小屋も。
大事に使わせてもらおう。
「じゃ、さっそくお外にれっつらごーです!」
「いや、その前にやっとくことがある」
「ほえ? やっとくこと?」
その瞬間……。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!
「!? く、クレーターにマグマが流れ込んできた!?」
中空からマグマがドロドロと流れて、クレーターへと流れ込んでくる。
俺とエリスはジャンプして、クレーターから一気に脱出。
俺の履いてる靴も脚力を強化する特級呪物だ。
一度使うと死ぬまで止まらなくなるっていうヤバい代物だが、無毒を持つ俺にはデメリットなしで、使える。
俺たちはクレーターから脱出し、そして……見た。
「あ、あれは! 憤怒の巨人!」
俺から左腕を奪っていった、憎き敵。
マグマでできた巨人、憤怒の巨人が目の前に居たのだ。
「あわわ!? ど、どうして!?」
「リポップしたんだろ。少々長居しすぎたな」
迷宮核を壊さないかぎり、何度でも
これも、ジョン・スミスの記憶通りだ。
「想定の範囲内だ」
俺はにやりと笑う。
「新しい力、試させてもらうぜ」
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