第24話 力を合わせてボスと戦う



 俺たち二人はダンジョンの迷宮主ボスモンスター、憤怒の巨人と戦っている。

 やつは再生能力を持っていた。


 漫画だと、再生能力持ちを倒す場合、再生が追いつかない程の火力で吹っ飛ばす方法しかない。

 だが、虚空弾(虚無を付与した弾丸)は熱波に阻まれてしまう。


 銃弾が金属でできているので熱には弱いのだ。


「…………」


 いちおう、熱に強い弾丸も作ってある。

 貫通弾。スキル【無形】を付与した弾丸だ。


 熱などの攻撃を受けても、形を変えず、相手に攻撃を加えることができる特殊弾。

 だが……貫通弾は、【奥の手】を使うのに取っておきたい。


 ……が、そんなことを言ってる場合じゃ無いか。


「エリス! 陽動を頼む!」

「OK!」


 エリスはタンッ! とマグマのため池に飛び込む。

 ため池の上には足場になる岩がいくつも浮いてる。

 

 エリスは岩を跳び……。


蒼波刃そうはじん!


 エリスはエクスカリバーを振るう。

 すると、空中に斬撃が……飛ぶ。


 斬撃は飛翔し、なんとマグマの腕に深い傷を作った。

 斬撃を飛ばすとか、やるじゃねえか!


『GIGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』


 憤怒の巨人はエリスを目障りに思ったのか、攻撃対象をエリスに移す。

 口を大きく開き……。


 ボシュッ……!


 敵は巨大な噴石を口から吐き出した。

 一瞬、エリスの安否を気にしたが……。


「やぁ……!」


 たん! とエリスは空を蹴って、カレイに回避してみせたのだ。

 空を飛ぶ、斬撃を飛ばすとか……やっぱすごいなあいつは。


 俺はステルスを発動。

 無視を発動するのでは無く、無視を付与した弾丸、【透明弾】を自分に撃つ。


 【無】スキルを運用していく上で気づいたことがある。

 それは、【無】を自分で発動するより、事前に弾丸に込めておくほうが、手数が増えるということだ。


 MP消費が無いからな。

 とはいえ、物にスキル付与すると、効果時間、効果範囲を自由に調整できなくなる(効果が一定になる)っていうデメリットも存在するが。


 俺はステルス状態になったまま移動を開始。

 

 たんっ。

 俺も空中を蹴って進む。


 これは魔物を食って手に入れたスキル、【空歩】だ。

 かなりレアなスキルらしい。

 ちなみにエリスも同じように空を走っていたが、空歩は持っていないらしい。(どういうことなんだよ……)


 まあいい。

 俺はステルス状態で空歩を使い、憤怒の巨人に近づく。


 いちどり、完了。


『おまえ様よ、【奥の手】を使うんだな』


 そのとおりだ。

 出し惜しみは無し。相手を最大火力で吹っ飛ばす。


 俺は貫通弾を幸運銃トリガー・ハッピーにセット。

 そして……


「ダーリン!」

「!?」


 憤怒の巨人がこちらを……【見た】!?

 バカな……こっちはステルス状態……いやちがう! 感知能力があるのか! くそ!


『GIGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』


 憤怒の巨人がこちらめがけて、その巨大な腕を振るってくる。

 まずい、避けられ……。


氷槍連射フリーズ・ランサー!」


 ズドドドドドドドドドドッ……!


 あさっての方向から氷の槍が無数に飛んできた。

 憤怒の巨人の腕に当たると……。


 ガキィインン!


「腕が凍った……」

「ダーリン! いまだよ!」


 エリスがこちらに危機に気づいて、氷の魔法を使ってくれたようだ。

 俺は弾丸をすぐさま切り替える。


 通常の弾丸で狙撃。

 ぱきぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいん!


 巨人の腕が粉々に砕け散る。

 そのすきに、空を蹴ってその場を離脱。


 エリスと合流し距離を取った。


「助かった。ありがとう」

「どういたしましてっ!」


 ……エリスの魔法が無かったら危なかった。

 ほんと、役に立つ嫁だ。


『見ろ、おまえ様よ。今吹き飛ばした腕だが、再生できていないぞ』


 !?

 本当だ!


 凍らせ、物理で破壊すると、再生が鈍るのか……!


「エリス! いけるぞ! おまえは氷の魔法でやつを凍らせろ。そこを俺が狙撃する!」

「! なるほど……OKダーリン!」


 だが問題は……残弾だ。 

 エリスには省略弾を、5発分もたせている。


 一発使ったので、残り4発。


「エリス、さっきの氷の魔法のクラスは?」

「上級氷魔法だよ。省略弾を使わないと、かなり長い詠唱が必要。その間に確実に敵にバレる」


 ……だよな。 

 つまり、あと4発、敵に魔法を正確に当てる必要がある。


 大丈夫か……とは言わなかった。

 俺には、こいつにならできると、確信があった。


「頼りにしてるぜ、エリス!」

「っ! はいっ!」


 エリスがもう一度、氷槍連射フリーズ・ランサーを放つ。

 今度は逆の腕だ。


 がきぃいん!


『GIGAAAAAAAAAA!』


 左腕が完全に凍り付く。

 俺は幸運銃トリガー・ハッピーで正確に狙撃。


 ぱきぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいん!


『両腕を吹っ飛ばしたぞ! いけるぞ、おまえ様たち!』


 ああ、行ける。これなら勝てる!

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