第3話 妖刀ゲット
俺、
ヒドラと遭遇し絶望するも、スキル【無】の秘めたる力に気づき……。
見事、ヒドラに勝利したのだった。
『おい、起きろ。小僧。起きろといってるのだ』
……誰だ?
男とも、女とも捉えられるような声。
『死んではおらんのだろう? 起きろ、小僧』
……ゆっくりと目を開ける。
体を起こす。……生きてる。そうだよな、生きてるよな……。
『小僧。こっちだ』
「え……?」
声のする方を見やるも、誰もいない。
ヒドラの死体があったところには……。
「宝箱……?」
大きめの宝箱が、鎮座してる。
俺は気になって、宝箱を開けてみた……。
「なんだこれ……? コートに……剣?」
『妖刀だ』
!?
声がまたした。
まさか……まさかだが……。
「この声……おまえか? 妖刀」
『然り。どうやら貴様は、我を使う資格を持ってるようだな』
まじか……。しゃべる刀なんてあるんだな。
いや、あるか。異世界だしな。
「おまえは……なんなんだよ? 」
『我は妖刀【
「妖刀……しちふくじん?」
なんかめでたい名前だな。
『我は元は刀鍛冶だった。この妖刀を完成させた瞬間、我の魂をこいつに食われてしまってな。今はごらんの有様だ』
自分の作った妖刀に、魂を食われた……?
やばい刀じゃないか、これ……。
置いておこう……。
『まあ待て。小僧。貴様ならこの妖刀を扱えるだろう。貴様はヒドラの毒を受け付けなかった。ならば、この妖刀の発する呪毒も効かぬだろう』
「……根拠は?」
『ヒドラの毒は、この我、
『魔物は核となるものに、
つまりヒドラの毒は、
『小僧。我を手に取り、抜け。きっと役に立つぞ』
「…………」
なんだこいつ?
やけにフレンドリーすぎないか? 妖しすぎるだろ。
『そう警戒するな。我は小僧の持つ、その【無】っていうスキルに興味がある』
「…………」
『近くで貴様のその【無】スキルの、可能性を見てみたい。それだけだ。我をそばにおくなら、いろいろと教えてやってもいい。話し相手にもなるぞ? こんな地下でひとりぼっちはさみしいだろう? ん?』
……別に一人はなれてるが……。
この世界のことについて、知ってるやつがそばにいた方がいい……か。
「……わかった」
【無】を無毒に進化させて、妖刀を手に取る。
『きひひっ! やはりそうだ! 我の毒も効かない! 世界最強の毒たる、この妖刀の毒が効かない生物がよもやいるとは! 面白い! 実に面白いぞ!』
「うるさいな……
『それは布型の鎧だな』
「鎧……これが……?」
持ってみたが、全然重さを感じない。
普通のコートみたいだ。
『外見はただの黒いコートだが、その頑丈さは折り紙付きだ。鎧の効果をもち、敵の攻撃を防ぐ力がある。まあ、もっとも夜笠は呪物だ。無毒を持たぬものが着れば、呪いの影響で体が締め付けられて死ぬがな』
……ぶっ。
なんだよそれ、やばすぎだろ!
「というか……呪物ってなんだよ?」
『文字通り、呪われたアイテムだ。強大な力を持つ反面、使用することによるデメリットが存在する……が! 貴様はスキル【無】のおかげで、呪いのデメリットを一切受けない!』
……なんだ、それ。
こんなの……反則じゃ無いか……。
『この我、妖刀【
「……そんなデメリットがあったのかよ」
早く言えよ……。
『きひひっ! 面白い! 貴様は呪いへの強い耐性を持つようだ! 貴様に呪いの道具をたくさん装備させれば、いずれ最強……いや、現時点で最強か! あらゆる毒、あらゆる攻撃を無効化できるうえ、スキル【無】にはすごい使い道もある!』
「へえ……たとえば……?」
『相手の存在を消し飛ばす……無かったことにする、とかな。そうだな……【虚無】とか使ってみろ』
「…………」
存在を、無かったことにする?
そんなのが出来たら……。すごすぎるだろ。
できるのか?
『スキル【無】を【虚無】に進化させますか?』
……出来た。
『ものは試しだ。やってみろよ』
「………………」
こいつに命令されるのは非常にしゃくだし、あんまり信用におけないやつだ。
が、新しい力を試したいって気持ちはある。
俺は手を前に出して、スキルを発動させる。
「【虚無】!」
ぼっ……!
……目の前の壁に、大穴があいた。
まるで最初から、壁なんて無かったかのように……。
『きひひひ! 確定だ! 貴様はすごい……世界最強のスキル使いとなるぞ!』
呪物装備し放題。
攻撃も毒もきかず、俺の手には最強の妖刀がある。
そして……無限の可能性を秘めたスキル【無】。
これらが合わされば、俺は……。
「なあ、
俺を理不尽に追放し、こんなところへ廃棄した……あのくそ女神。
あいつを……ぶっ殺す。
俺の中にあるのは、その強い思いだ。
『ああ、出来る。貴様にはそれだけの力がある』
「そうか……」
俺は呪物、夜笠を羽織り、妖刀【
「いくぞ」
『応。神殺しの旅か。きひひ! 面白くなりそうだ!』
こうして、俺、
その元凶たるくそ女神を殺すために、旅に出たのだった。
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