第22話 フェータンって?

 私はフェータンの誘いにのって、海底ダンジョンを散歩していた。

 結論から言うと海底散歩のメンバーは私とフェータンだけだ。

 レベル500超のフェータンが護衛してくれるということで、身の安全は保障されている……ような、そうでもないような。


「それにしても綺麗ね、日の光が届かない海底なのに、呼吸ができて物が見えるって本当にダンジョンって、物理法則とは無縁よねえ……」


「そうですなあ。わたくしめもこの眺めはとても好きですぞ。あゆみ殿が気に入ってくれたようで、わたくしうれしいですな」


 半魚人みたいなモンスターが道行く過程で私たちに道をゆずってくれる。

 私に……というか、フェータンに道をゆずってくれる。


「野生に生きる者は強いものを区別する能力があるんですぞ」


「へえ? フェータンのレベルが高いって、わかるんだ?」


 ふふふ、とフェータンが含みありげに微笑む。

 しかし必ずしもその通りではないらしい。

 ある半魚人の一団……みるからに恐ろしい形相をした連中が私たちに向かってきた。


「お任せくださいな。わたくしめが話をしますぞ」


 フェータンが私をかばうように前に出て、半魚人の一団と対峙する。


「いぇい、いぇい☆彡 ごきげんようですな」


 フェータンがそれだけ言うと……「〇×〇×〇×!?!?!?!?」

 なにやら半魚人たちは悲鳴をあげて、我先にと逃げ出していった。

 よくわからないけれど、フェータンがなにかトリックを仕掛けたのだろうか?

 ここにいたって、今更の疑問で私は首をかしげる。


「フェータンって、何者?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る