第21話 海! 季節外れ?

 休日、私たちはフェータンの提案にのって、季節外れの海にやってきた。

 ただいま6月ということで、泳ぐにはさすがに肌寒い……か?

 昨今は温暖化が進んで5月でも6月でも暑い日は暑いから、夏みたいなもんよね~


「でも今日は泳ぎに来たんじゃないんでしょ? フェータンはこの場所にダンジョンがあるって知ってるの? ていうか海底ダンジョンなんて本当にあるの?」


「ひとつずつ、お答えしますな」


 フェータンは私たち将棋同好会のメンバーを見渡して微笑んだ。


「まず海底ダンジョンは実在します。危険度としてはレベル250相当のモンスターが徘徊しております。この近辺では最高難易度のダンジョンですぞ」


 え? なにそれ危なくない? 学校の実習じゃなくて余暇でやってくるには危険すぎる。

 私が渋い顔をしていると、トウヤが私の代わりにフェータンに言ってくれた。


「無茶だな。俺とアサカのパートナーモンスターがレベル300強だ。突発的な戦いで確実に優位が取れるとも限らない。探索はやめた方がいい」


「そうねえ、おねえさんも、ちょっと不安かなあ。それよりみんなで砂遊びしない?」


 フェータンは反論を「ごもっともですな」と流して、うなずいた。


「しかしまあ、私が巣窟としていたダンジョンの平均レベルは450でしてな。その最奥近くまで、我が身一つで殴り込んできたあゆみ殿がいることを考えれば、適正レベルですぞ」


「おい、あゆみ、おまえ……」


「気の迷いだったのよ。掘り返さないでほしいわ」


 自殺願望を恥ずかしく思い出して、私はうつむく。それを見つめてフェータンが笑う。


「ふふ、あゆみ殿、安全は確実に保障します。わたくしめと、少し散歩をしませんかな?」

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