第16話 いざ、初級ダンジョン

ダンジョン探索の実習、学年ごとに組み分けがあるのかと思っていたら……


「完全にフリー探索で、個人でも友達連れでもおっけーって、授業としてどうなの?」


「そこはまあ、ダンジョン探索者の資質を試しているんでしょうな。安全を考えるなら集団で潜るのが鉄板ですから」


 特に縛りがないとわかったので、私は将棋同好会のメンバーに合流した。

 助かるわー、転校したばかりでロクな交流がない私にはパーティ編成自由は天の助けだ。


「どこ行く~? トウヤはどこ行きたい?」


「そうだな。俺とアサカは近隣の最上級ダンジョンまで潜れるが……今日はあゆみにとって最初の探索だ。おまえの様子見をかねて、初級ダンジョンでいいだろう」


「あ、配慮してくれるんだ?」


「初心者にむちゃくちゃをさせるほど俺もアサカも強引ではないさ……」


 アサカさんも「うんうん、その通りだねえ。ナイスエスコート!」とうなずいていた。

 聞けば初級ダンジョンはモンスターテイマーの登竜門で、テイマーを目指す探索者はみなこの場所で最初のパートナーを得るのだという。


 今回向かう初級ダンジョンの名前は……「子竜の楽園」

 ほー、ちっちゃいドラゴンがたくさんいるのかな? 楽しみだねー。

 かわいいのがいいなー、私はかわいいドラゴンを所望します。


「のんきなことだな……モンスターの平均レベルは30未満だが……親のドラゴンはレベル200を超える者もいる。気をつけろ。長生きしたければ竜の逆鱗には触れないことだ」


「おっけー、任せて!」


 いざ出陣! 私は意気揚々と異空間へ足を踏み入れた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る