第13話 どうぞ、苦渋の選択よ

 桂馬の打ち込みに対するトウヤの対応は、先手6七金左だった。

 ふっふっふ、お上手に受けるじゃない。なら、そろそろ攻め込もうかな。

 後手5五歩 先手4八歩 後手4六成銀 先手4七香……

 だけど、ここで構わずに、後手5六歩。


「おっと成銀を見捨てましたな。これは攻めが成立する?」


「ええ、むしろトウヤくんの方が守らないと厳しい状況ね、でもここで受けても……ちょっと厳しいかな。あゆみさんの気迫が伝わってきて、お姉さんたのしいわ」


 さあどうするのかな? 先手5八歩、か。

 なら後手4七成銀。続いて 先手同歩 後手7五歩 先手同歩 後手7六歩 先手6五歩 からの、後手3三角!


「王手よ」


「ふんっ……」トウヤは先手6六銀として、玉を守った。

 そうよ、他に手はないでしょう。

 だけど私の攻め手はここからよ。後手7七歩成!


 先手同桂 後手同桂成 先手同銀左 後手5七歩成 先手同金上 後手8三香 に対して……先手8六桂。

 ふーん? そこ桂馬で受けるんだ? てっきり歩で節約するのかと思ったけど……

 まあいいや、相手の持ち駒は吐き出させた。 ここからはワンサイドゲームだ。


 後手7六歩 先手6四歩 後手7七歩成 先手同角 後手8五桂 先手7四桂打……あきらめずに反撃してくれるのはうれしいけど、ちょっと遅すぎるかな~?


 後手7七桂成 先手同金 後手9二飛 先手6二桂成 後手同飛 でひと段落。

 先手5五桂 に対して、ここは守らず後手8五桂とする。

 先手4三桂成 後手同金 先手6七金左 後手6五桂 先手6八金打 後手5七桂成 先手同歩 後手6五銀 先手7七銀打……


 ふっ、お相手さん。そろそろ、苦渋の選択って感じかしら?

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