第12話 激戦、私氏がんばる

 続く手は先手1四銀……なめるな。

 ここで守勢に回る私ではない!


 後手3五歩 先手同歩 後手同銀 と反対に自分の銀を進出させる。

 先手5九角 に対して、後手3四歩で浮いた銀を守る。

 先手3七桂 後手3六銀! どうよ! 逆に攻め込んでやったわ!


「…………」 トウヤは無言で先手2六飛 とした。


 ここで少し考える。4七の地点に進出するのは、ちょっと早いかな?

 というわけで、ここは後手3五香 先手3八歩 後手4七銀不成 と続く。


 先手6八金引 後手8六歩 先手同銀 後手3六銀成 先手2九飛 と飛車を下段に下げさせて、ひと段落。私の手番が回ってくる。


 やっぱり3七の地点にある桂馬を活用させたくないよねえ。

 だから後手4六歩 で攻め込みつつ、自分の駒を桂馬の効きから外す。


「ほー、あゆみ殿が攻め込んでいますな。ひょっとしてあゆみ殿が優勢ですかな?」


「優勢……というには危ういバランスだけど、後手有利かもしれないわねえ。先手は最初に少し攻め損ねたから、ここから持ち直せるといいけど、どうなるかしら?」


 先手4八歩 後手1六歩 先手1九飛 後手1七歩成 先手同飛 後手1五歩 先手2七歩 ……と、飛車をつり出しておいて、後手4七歩成!

 先手同歩 後手同成銀 先手1九飛 後手2四角 として、角を攻撃に参加させる。

 先手7七銀 ……逃がすか! 後手8五桂で銀を釣り出す!


 ここで初めて、トウヤが表情をわずかにしかめた。

 先手8六銀 後手3七香成 先手同歩 後手6四桂、どうだ! 受けにくかろう!


 とか言って余裕ぶってるとポカをやらかしそうなので、集中、集中……


 さあて、ここから、一気に攻め込むよ!

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