第9話 バトル! 夜川あゆみVS日渡トウヤ
「いぇい、いぇい☆彡 青春のバトルは学生の特権ですな!」
「ウフフ、そうねえ、みなさん仲が良くて、おねえさんうれしいなあ」
フェータンとアサカ同好会長がわけのわからないことを言っている。
その横で、私とトウヤは将棋盤をはさんで向かいに座った。
「この俺に牙をむくとは……負けるとわかって挑んでくるのはほめてやる」
「ふっ、こう見えて私はアマチュア3段でね。免状は高額だからもらってないけど、将棋にはいくらか自信があるのよ」
「つまり?」
「負けるのはあんたよ。高慢ちき野郎」
私は笑顔を作って、振りごまを行った。
私が後手、トウヤが先手となる。
……先手番は奪えなかったか、まあいい、許容範囲だ。
「いぇい、いぇい☆彡 実況はわたくし、フェータンめと」
「同好会のアイドル、氷室アサカでお送りしまーす♪」
わけのわからないことを言って戦意をそぐのはやめていただきたい……
煮えたぎる怒りは理性で押し殺す。
勝負は冷静に、勝つべくして勝つのが常道よ。
「「よろしくお願いします」」
トウヤの最初の手は先手2六歩。
定石、居飛車を目指す王道の一手ね。
私は呼吸を整えて、駒に触れる。
私とトウヤの戦いが始まった。
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