第8話 日渡トウヤと将棋同好会
「あらあ、トウヤくん、いらっしゃい。お客さんね」
文化部室棟の一室にお邪魔すると、そこにはゆったりとした雰囲気の女性がいた。
顧問の先生かな? と思ったけど、制服を着ていたので生徒だとわかる。
こちらのお姉さんはどうやら上級生のようだ。
「はじめましてえ、わたしは
「将棋同好会?」と私、「ほー、ボードゲームの定番ですな」とフェータン。
「あれえ? トウヤくん、ひょっとしてなにも説明せずにこちらの彼女を連れてきたの?」
「トウヤくん? ひょっとして日渡くんの下の名前ですか?」
「自己紹介もしてないの!? ひええ、口下手極まれりだねえ……そうそう、こちらの不愛想な彼が、
あなたは入会希望? と確認された私は「夜川あゆみです」と自己紹介をした。
うーん、将棋同好会か、将棋のルールは知ってるけど同好会に入ってまでやりたいとは思わないんだよねえ。最近はアプリで全国のプレイヤーと対局できるし、わざわざ現実でやらなくてもいいよねえ……
アサカ同好会長には申し訳ないけど断ろう! と思っていると。
「断りたければ好きにしろ。俺たちの将棋同好会に軟弱な女は必要ない」
「はあ!? 軟弱ですって!? 誰が!?」
見透かすような発言を受けて、挑発された私は最高にイラっとした。
朝も思ったけど、トウヤ氏って口が悪いよね? 尊大で、ちょっと分かり合えないな。
ほーん、教育が必要ねえ。どっちが上か、わからせてあげないとね!
というわけで、ぶち切れ寸前の私は青筋を浮かべてにこりとする。
「……なら、私と勝負してみる? 将棋同好会のエースさん」
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