第5話 私立ダンジョン学院高等学校

 私立ダンジョン学院高等学校。

 名は体をあらわすというべきか。そのまますぎるネーミングに私は驚いた。

 ダンジョンアタック専門学校の触れ込みは伊達じゃない……


 遅刻遅刻~とか言って人にぶつかるのは嫌なので、安全登校をする。

 フェータンと並んで雑談しながら、優雅な早朝の登校だ。

 周りを見わたすと、ところどころにモンスターのすがたが見える。

 モンスターテイマー育成をかかげる学校ということで、猫とか犬とか子竜とか、テイムされたモンスターの数々が、目を驚かせてくれる。かわいらしくていいよねえ。


「……っ、あ、ごめんなさい!」


 と、よそ見をして歩いていると人にぶつかってしまった。初日から失敗だ。

 ぶつかったのは背の高い男子生徒で、なにやら不機嫌そうな表情をしている。


「気をつけろ……ん? 見ない顔だな。おまえは……」


「あ、はい。私は夜川あゆみって言います。今日から来ました、転校生です」


「この時期に転校生? なるほど、厄介者だな」


 グサッと、心に棘が突き刺さる。

 厄介者って当たってるけどさあ! 言い方! 言い方がありますよお兄さん!


「気をつけろよ。学校ではともかく、ダンジョンでの気のゆるみは死につながる」


 尊大に言って、男子生徒は名乗りもせずに去っていった。


「むっかー、なにアレ!? 失礼じゃない!?」


「ふふふ、良き出会いですな。幸先がよいですぞ」


 フェータンがにこにこしていたけれど、私は違う!

 あんなやつ知ったことか! 朝っぱらから、災難よ! 災難!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る