第3話 愛情より友情ですとも

「えー、そこはさあ、超絶イケメン男子に変身して、傷心をきゅんきゅんさせてくれる展開じゃないの?」


「愛情より友情ですとも。男と女、雄と雌、そんな関係もよきとは思いますが、誰しも理解者を求める気持ちはあるでしょう。わたくしめ、あゆみ殿のお友達に立候補しますな!」


「え、ええ、ありがとう。だけど……」


 友達がひとり増えてもなあ、繰り返しになるけど私の学校生活は終了のお知らせだし、気まずい空気とスクールカースト最底辺に甘んじて、卒業までがんばる気力はないよ……


「だったら転校すればいいんですな」


「え?」


「ご両親に事情を説明して、よその学校に転校させてもらえばいいんですぞ。昨今、なにかとセンシティブですから、簡単に理解を得られると思いますな」


「そ の 手 が あ っ た か !」


 転校なんて逃げ出すみたいでしゃくぜんとしない気持ちはあるけれど。

 かといって自暴自棄になって命を終わらせるのは、やっぱりもったいないよねえ。


「そうと決まれば手続きですなー、わたくし、ここの校長とは知り合いなので話し合いに同席しますぞ。あとはご両親を説得するだけ!」


「え、ええ? そんな急に、心の準備が……」


「いぇい、いぇい☆彡 新天地が楽しみですなー」


 話を聞かないフェータンにぐいぐいと背中を押されて、私はダンジョンを後にした。

 転校かー、いまいち実感がわかないけれど、それもいいかなと思う自分がいた。

 ていうか、フェータンって……何者?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る