第2話 わたくしフェータンちゃんですな

「というわけで、ラブレターの文章を校内グループにさらされた私は、自暴自棄になって死ぬためにこの禁止区域ダンジョンにやってきたわけよ!」


「い、いやあ、おつらい、とてもおつらいですな」


「わかってくれるますかデカい鳥さん!」


「わたくしはフェータンちゃんですな。この場所に人が来るのはめずらしいし、気が晴れるまでゆっくりしていけばよいですぞ。不肖わたくしが、あゆみ殿の心の傷をしっかりリカバリーさせていただきます!」


 私の心の傷をリカバリ~?

 できるものかよー、そもそも学校生活が終了のお知らせだっていうのに……人間様の繊細な人付き合いの問題を、ただのデケー鳥がどう解決できるっていうんだよ~むぐぐ……


「うーむ、ではこうします。わたくしフェータンちゃんが夜川あゆみ殿の専属モンスターになりましょう。毎日いっしょにティータイムを楽しんで、心を癒してゆきましょう」


「専属モンスター? テイムされるってこと? でも私と大きさが違いすぎない? ティータイムとか無理でしょ」


「いぇい、いぇい☆彡 毎日が楽しみですな」


「聞けよ」


「そこは問題ないですな。こう見えてわたくしめ、わりと高位のモンスターなので、人間に変身することもできるのですぞ。こんなふうに!」


 するとデカい鳥の輪郭がぼやけて、蜃気楼みたいに景色がゆがんだ。

 次の瞬間、そこにいたのは執事然とした超絶イケメン男子! ……ではなく。


「いぇい、いぇい☆彡」


 なんかふつうにかわいい感じの、羽飾りでアイドルめかせた女の子だった。

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