第1話 不思議な玩具館の扉を開けて
【第1話:不思議な玩具館の扉を開けて】
あきらがそのおもちゃ屋に足を踏み入れたのは、完全に偶然だった。学校からの帰り道、いつもとは違う道を選んだことから始まる。雨に濡れた街、薄暗い空の下、ひときわ目を引くのは「不思議な回転玩具館」と書かれた小さな看板だった。好奇心が彼を導き、古びたドアノブを回す。
店内に足を踏み入れると、目の前に広がるのはキラキラと光る回転レーン。音もなく流れるおもちゃたちは、まるで別世界から来たかのよう。あきらはその場に立ち尽くし、次々と流れてくるおもちゃたちを見つめた。
すると、突然、彼の目の前に流れてきたのは、小さな木製の船。その船には、細かく彫り込まれた海賊の姿があり、どこか懐かしさを感じさせる。あきらは手を伸ばし、その船を手に取る。不思議なことに、船を持った瞬間、彼の頭の中に海賊たちの冒険譚が浮かんでくる。
「それ、良い選択ですね」と、後ろから声がかかる。振り返ると、そこには笑顔のAIロボットが立っていた。その表情は優しく、あきらを安心させるものだった。
「この船は、特別な物語を秘めています。船に乗ると、その冒険が始まるんですよ」とロボットは続ける。
あきらは驚きつつも、興奮を隠せなかった。これはただのおもちゃではない。何か特別な意味を持っている。そして、この店全体が何か特別な力を持っていると感じた。
「他にも見ていきますか?」とロボットが誘う。あきらは頷き、更に奥へと進んでいく。店内は無限に広がっているようで、回転レーンには絶え間なく新しいおもちゃが流れてくる。彼の冒険は、まだ始まったばかりだ。
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