第5話 レインとランスのジョブとステータス

「レイーン。一緒にきめよーぜ。」

「へいへい。ランス、ジョブは?」

 ランスに呼ばれ、程よく疲れが取れた体を起こす。しかし、怠そうに返事をする。

 ランスの向こうには、ヴィーネに向かって手を振るレミィが居る。ヴィーネはレインに「終わったら呼んでね。」と言って、レミィの下に向かった。

 ヴィーネがレミィと雑談し始めてから、ランス達も話し始める。

「んで、ジョブは?」

「アサシン…短剣使い。そっちは?」

「ウンディーネ。水属性の魔法使いだよ。」

 まず、それぞれのジョブの特徴を確かめる。

 アサシンは、前衛・中衛で動き、主に物理攻撃をする。ソロでやるのに向いているジョブである。動きは素早く、アサシンの名の通り隠密も得意とする。しかし、防御力の初期値が低く、避けるのが必須だ。

 ウンディーネは、中衛・後衛で魔法攻撃をする。攻撃範囲が広いが、次の攻撃までが遅く一撃の攻撃力はそこまで高くない。他の属性の魔法使いより命中率が高く、動きを止めるなどの牽制にも向いている。

「Xは、ジョブによってそれぞれのステータスの初期値が違うらしいね。ヒーラーは生命力の初期値が高かったし。代わりに筋力が低かったけど。」

「シールダーは防御力の初期値が高くて器用度が低かったかなぁ、確か。」

 Xには、沢山のジョブがある。それぞれに特性がしっかりとある。ステータスが0の状態でも、ジョブによって元の能力が違う。

 アサシンも、敏捷性の初期値が高く防御力は低いと、そのジョブの個性がある。

 同じようにウンディーネも器用度と知力の初期値が高く、筋力と防御力の初期値が低い。


 ジョブの説明を読む内に2人は少し不機嫌な顔になっていく。

「しかしさぁ…ちょっとバランス悪ない?」

「まあねぇ。攻撃力高い物理攻撃いないし。」

 ランスは回復・補助、レミィは防御、ランスは浅く速い物理攻撃、レインは範囲が広く遅い魔法攻撃。しっかりとした前衛はおらず、バランスはあまり良くない。協力して倒そうとすると時間が掛かってしまうだろう。短期戦は向いていない。

「しゃーない。長所伸ばしまくるかぁ。」

「え、極振り?」

「ま、そーねー。生命力は変わらず多くだけど。」

 そうして2人は黙々という訳ではなく、軽く言い合いをしながらステータスを決めていった。

「わい、知力振らんでいい?」

「は?」

「ひぇ、やめて怖い。「は?」とか言わんで。…いやさ?アサシンって他の物理攻撃職よりは知力の初期値ちょい高めなんよ。だからだいじょぶかなと思って。」

 言い合いというよりは、かなり一方的だったような気はしたが。

「なら…敏捷性に振るの諦めていい?」

「え、そしたらレっち時速1㎞になるけど。」

「変な呼び方止めて。てか知ってるわその位。…遅すぎるとこはもうスキルに任せようと思って。」

 一瞬、レインはランスを睨みつけたが直ぐにステータス画面に向き直して話を戻した。

「最初はどうすんの?」

「お前におぶってもらう。てことで筋力高めに設定しとけ。」

「うええ⁉確かに最初からそのつもりだったけど‼転移してもわい、レインのこと背負うの⁉」

 「転移しても」というのは、地球で度々、レインはランスに背負ってもらっていたのだ。理由は歩くのが面倒だとか、その程度だったが。

「てことで、敏捷性振らないから。」

「あぅ…。」

 レインはランスの話を真面に聞かずに、中途半端に振っていた敏捷性の数字を0に戻した。

 ランスも知力には振らずに、他のステータスに振っていった。


「…ランス、終わった?」

「おん。終わった~。レインも?」

「うん。」

 暫く無言で振り分けてから、大体10程だろうか。二人とも振り終わり、最終確認をした。

 筋力は、ランスが33、レインが40。

 防御力は、ランスが10、レインが5。

 敏捷性は、ランスが52、レインが0。

 器用度は、ランスが10、レインが15。

 知力は、ランスが0、レインが50。

 生命力は、ランスが45、レインが40。


「皆、器用度低い。」

「いいやん。別に。レベル1からこのステータスなんだから。高いほうっしょ。」

「…そうだったね。方針も決まってないし、今はこれでいいか。」

「そそ。んじゃ、レミっちのとこにいこっか。」

 最終確認が済み、レミィとヴィーネのところに戻る。

「あ、お帰り。長かったね。」

「ん。ただいま。」

 レミィとヴィーネにもステータスを見せ、色々と説明する。



 すると、また、あの足音が聞こえた。

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