第4話 レミィのジョブとステータス

 レインとヴィーネがレミィ達の傍に座る。そこで靴を脱ぎ、痺れる足をマッサージしながら現状を確認する。

 今は、ジョブを確認し、敏捷性だけ決めている状態だった。

 正確な時間はわからないが、ヴィーネのステータス決めに10分程掛かっていたので、此の侭ではレミィのステータスだけで1時間程掛けてしまいそうだ。

「全然進んでないじゃんか。」

 レインが呆れた顔でレミィのステータス画面を進める。レミィの敏捷性に、30だけ振られている以外は0ばかりだった。

「しゃーないじゃん。今までやったゲームの中で『シールダー』なんてなかったんだもん。」

 レミィのジョブの欄には『シールダー』と表示していた。説明を読むと盾を使って仲間を守護する役職らしい。あまりゲームに出てくるジョブではない。

 シールダーは基本、男性がなるジョブらしく女性がシールダーをすることは殆ど無く、レミィはかなり特殊になる。

「シールダーってことは色々、耐性必要になるよね。ステータスは防御力に偏らせて、んで攻撃はさせないから筋力にはあまり振らせないで…。」

「ちょちょちょ、待って!ゆっくり言って!」

 ランスが理解する前に次から次へとステータスのバランスの案を出していく。大分早口で、レミィとヴィーネは何を言っているかすら分からなかった。

「…防御力、生命力多め。筋力、器用度、知力は低めに。」

「え、筋力いらんの?」

「だって攻撃しないでしょ。」

 レインとランスの話は、レミィにとっては最早他人事にしたい程、理解できる内容ではなかった。ヴィーネも同様、理解をすることを諦め、レミィと永久アルプス一万尺をしながら何となくレイン達の会話を聞いていた。

「…難しいねぇ。」

「ね~。」

 完全に他人事にして、2人は永久アルプス一万尺に集中した。


 5分程してレインとランスがレミィに話しかける。どうやら方針が決まったらしい。

「どうなったの?」

「んっとねぇ。防御力と生命力は防御力の方が高く、器用度と知力はあんまいらん。んで、筋力は必要最低限って感じ。」

 レミィはアルプス一万尺を止めて、ステータス決めに戻った。あとはランスに任せる心算らしく、レインは適当な場所に座って休憩していた。

「お疲れ、レイちゃん。」

「ん。まだ自分のもあるけどね。」

 話し相手がいなくなったヴィーネはレインのところまで寄り、隣に座った。


「じゃあ、バランスは決まったしちゃちゃっと決めよう!」

 ランスとレミィは、レイン達と少し離れた場所で話す。

「まず防御力と生命力を決めよっか。防御力に頼るか、ほぼ五分五分にするかが良いかな。」

 防御力が十分高ければ、ダメージを受けることはない。しかし、もし想定外の攻撃が来た場合、あまり防御力に頼りすぎたステータスだとピンチに陥りやすくなってしまう。

「う~ん。皆のことちゃんと守りたいし、防御力にいっぱい振る!」

「OK。防御力と生命力に100位使う心算なんだけど。」

「防御力60に生命力40位?」

 レミィは、弟と見たアニメのお陰でどうにか話についていけているようだ。

「…ねえランスちゃん。」

「ん?」

「防御力に70の生命力40でも良い?」

 防御力に60と生命力に40を振ってから少しして問いかける。

「別にレミっちが良いなら全然ダイジョブよ?」

「じゃあそーする!」

 ランスがあまり考えずに言うと、レミィはすぐに防御力に+10振った。

「じゃあ残りは10だね。どする?全部筋力に振ってもダイジョブだけど。」

「あ、でも説明に防御『魔法』も使えるって書いてるよ。」

 レミィはジョブ説明の文を見て最後等辺の文を指した。そこには『MPを消費して防御魔法を使用することも出来る。』と書かれている。

 防御スキルと防御魔法には違いがある。

 防御スキルは、攻撃を防いだり、スタンや出血などのデバフ、一部のスキルでは少しの回復もできる。

 防御魔法は、攻撃を防ぐと共に、魔法攻撃によるダメージを当てることができる。

「そしたら、知力にも振ろうか。」

「うん。あ、器用度って無くても大丈夫なの?」

「そだね。生活する分には影響ないし。」

「じゃあ、筋力にも知力にも5ずつ振るね!」

 そして、レミィのステータスは決定された。

「ふぅ…。ランスちゃんありがと~。」

「ダイジョブだよ。んじゃわいは、レっち…て言ったら怒られそ。レインと決めてくるわ~。」

「いってらっしゃ~い。」

 ランスはレミィに手を振ってから、レインの下に向かう。

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