第8話 天使と女神の騙し合い

―――――――――夢の中。


「…翔、行くぞ。」

「誰お前。」

「ん?こいつの兄貴。」


―――――――――「懐かしいね。よく色んな奴殴ってたよね。」

「…本当にお前はサイコパスだな。人の自慰みたいな夢の中に堂々と。」

「やっぱり悪口言ってない?」

「言ってない。」


「……。」


少し離れた階段で座って昔の2人を見ながら翔を抱き寄せてた。


「いつ見てもお前は可愛いな」

「でしょ。…でもさ、あの時は自分が嫌いでさ。女々しいというか、なんというかね。」

「でも俺はそんなお前が可愛くて好きだった。今もだけど。」

「……知ってる?僕、ああやって虐められて漏らしたことあってさ、汚い話ね。でも、稜太が助けてくれて誰も居ない公園で制服洗ってくれたんだよね。」

「下、裸で帰ったの?」

「違う!そんなわけないじゃん!稜太が持ってた体操服貸してくれた。ちょっと大きかったけど嬉しかったな。」

「うん?軽いクレーム?入った?」

「ううん。入れてない。」



「……てか、ちょっと聞いていい?」

「うん?」

「お前、どうやって俺の夢の中入ってきてんの?」



――――――――――――――「あたしと一緒。」


「大人しく寝てて欲しかったな。」

「黙ってこのクソ女。」

「ちゃんと付いてるよ?それなりに大きいの。」

「だからその顔で言うなって。」


「あんたいつからゲイになったの?」

「なったわけじゃない。」

「元々バイだよね」と翔。

「いや、男は嫌。」

「まぁね、僕に対してもここには一切だよね。触らせてもくれないし。」


「プラトニックが希望なんで。」

「中学生じゃないんだからさ。」

「みたいなもんでしょ」と咲が間に入る。


「……お前らすごいよな。なんでこんなこと出来んの?」

「僕は『可愛い天使』だから。」

「いや、『堕天使』か『悪魔』。」

「あたしは『女神』」


「お前らキャラ濃すぎ。」

「ラスボスあたしね。」

「僕は平和主義だから」

「そんな奴があたし眠らせる?」

「かかったの?」

「フリだけ。こいつも分かってるはず。」

「……わかってたよ?無理だもん。稜太にとってこの口の悪い人がどれだけ大切か、痛いほと感じたから。僕は勝てない。」

「悪かったわね。口が悪くて」

「いいの。口悪くても。俺、咲さんの全部好きだから。」





――――――咲が瞬きをすると、翔が消えた。

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