第7話 邪魔な羽

―――――――――ベランダ。


「ここにいた。」

「うん。」


翔が僕を探してここに来た。


後ろから僕を包み込んで来た。


「体細いな。相変わらず。」

「マッチョになりたくない。」

「だな。お前はおっとりしてるちょっとトロイ可愛いやつだもんな。」

「悪口入ってない?」

「いや?入ってない。」

「そう?」

「うん。」


「……ねぇ、稜太」

「うん?」

「僕、羽あったほうがいい?無くてもいい?」

「邪魔くせー。あのバサバサ。」

「やっぱりか。別に飛ぶ必要ないしね。」


「……。」

「なに?」

「もったいねーなって」

「何が?」

「お前がバイとかゲイとかって。」

「そう?でも僕、男は稜太だけだよ?」

「あれ?『イケメンに限る』みたいな事言ってなかった?」

「もういい。イケメンが全員優しいわけじゃないし。無理やり痛いことされても嫌。」


「……。」

翔を見て微笑むと、


「そう。稜太は僕に痛い事はしない。むしろ優しすぎるくらい。でもそれくらいがいい。僕がしたい事して稜太が泣いてるのが丁度いい。」

「お前上手うまいから。」

「何が?」

「…欲しがらせるの。」


「僕はそうなってほしくてそうしてる。それに僕はそういう時ずっと稜太の目を見てる。稜太が安心出来るように、稜太の心埋められるように。」

「別にそんなめんどくせー事しなくていいよ。」


「したいからしてんの!」

「……。」

「なに?」


翔の首の後ろに手を回した。


「……。」


そのまま引き寄せて胸の中に導いた。


「稜太……。」

「ずっと可愛いお前でいろ。そのままでいいから。」

「うん。」

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