第5話 大雨の夜

――――――――――――大雨の夜、海の中。


「侑海、帰ろ?これ以上行ったら深みにはまる。」

「もうはまってる。足だって重いしもう抜け出せない。…咲風邪ひいちゃうよ?帰りな?」

「一緒に帰る。」

「いい。俺、ここにいたい。」

「なんで?(波に)」持っていかれるよ??」

「いいの。連れていってくれるなら連れて行ってくれて。」

「なんで?」

「もういい。誰もわかってくれない。」


咲が僕の腕を強引に引いて砂浜まで引き上げた。

いつも通り頬を叩かれるかと思ったら、抱きしめられた。


「……もう何も言わない。」

「……」

「なに?…」


真っ直ぐに咲の目を見て言った。


「お前が無理なら誰も無理。消えたい。」



―――――――――――「……綺麗なお姉さん。ちょっと寝てて?」

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